...生きていると気がついて悦んだのも束の間...
海野十三 「火葬国風景」
...彼が折角無事であったことを喜んだのも束の間の喜びであった...
田中貢太郎 「陳宝祠」
...束の間の少年の夢...
徳永保之助 「洪水のように」
......
長塚節 「長塚節歌集 中」
...間もなく黒い岩礁が少しばかり海面から頭を出したのも束の間...
中谷宇吉郎 「黒い月の世界」
...あんなに美しかつた束の間に嘗ての姿をとりもどすかのやうに...
原民喜 「鎮魂歌」
...今やこの若者はポケットの中の束の間の金貨を動かしては喜びを味わっていた...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...灯りの消えた束の間にツイと立って行って佐原屋を縊り殺し...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...この相似性によって、理性が心配で手に負えなくなっているときでも、我々は束の間、理性をなだめすかすことができる...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...束の間づつ喚び醒まされる波の音が次ぎ次ぎに三方から谺(こだま)して来るばかりである...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...何れもが束の間も休まうとしない...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...それは束の間だった...
平林初之輔 「二人の盲人」
...」それも束の間、三人の歩みは停車場の光りに向つて、何といふ早さであらう...
牧野信一 「〔編輯余話〕」
...わが我儘なる心に常に何をか求め憧れつつ遣瀬なき念(おも)ひ束の間も忘るることなく...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...注射も今は只束の間の命を延ばして行くはかない仕事になって息は益々苦しく小さい眼はすべての望を失った色に輝いて来た...
宮本百合子 「悲しめる心」
...極(き)まるは今の束(つか)の間(ま)と思案するもまた束の間...
森鴎外 「そめちがへ」
...あれほど束の間のことをあんなに長い間こわがるのは道理だろうか...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...柴のように見えるその椅子の束の間から千鶴子が黒い服で近よって来た...
横光利一 「旅愁」
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