...その悦びは束の間に消え去った...
海野十三 「火葬国風景」
...山の井は斧(をの)の柄(え)のくつ束の間を初めて知んぬ...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...三人で身を寄せ合えば眠る束の間心地よく暖まれる...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...ただ私がいくらか束の間の安堵をしたことには...
豊島与志雄 「或る女の手記」
...女の出世の行止りのやうに思つたのも束の間で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...束の間づつ喚び醒まされる波の音が次ぎ次ぎに三方から谺(こだま)して来るばかりである...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...湖の舟の動きし束の間に我唯今を忘れけるかな野尻湖でよまれた歌であるが...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...それは束の間だった...
平林初之輔 「二人の盲人」
...尤も形の徐々(そろそろ)壊出(くずれだ)した死骸を六歩と離れぬ所で新鮮の空気の沙汰も可笑(おか)しいかも知れぬが――束の間で...
ガールシン 二葉亭四迷訳 「四日間」
...文字通り束の間で...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...不幸を頭の中で作り出す(これが何よりも悪いのだ!)僕等は束の間の幻を築いてゐるのさ...
北條民雄 「一九三六年回顧」
...いつかこの国は科学者たちの恩恵を知るだろうよ」ロンデール医師が外を見ると、群衆が喜び叫んで、陽光灼熱など意に介さず、束の間、恍惚状態だ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「死の川」
...束の間のエア・ポケツト見たいな白々しい間隙が生じてゐるものだ――などと思ふと私は不図...
牧野信一 「日本橋」
...蝶々さんとピンカートンの蜜のように甘い愛の巣の生活も束の間...
三浦環 「お蝶夫人」
...外套だけ被って足を伸ばし臥(ね)ては束の間も眠られぬと...
南方熊楠 「十二支考」
......
三好達治 「池のほとりに柿の木あり」
...我等に残るこの束の間...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...束の間だって波風ひとつ立った例しのない暮らしのあげくに...
レスコーフ Nikolai Semyonovich Leskov 神西清訳 「真珠の首飾り」
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