...井田は外套を脱いで身が輕くなつたと共に不圖淋しい心持がしたが、それも束の間で、直ぐ机の下にあつた行李を運び始めた...
有島武郎 「半日」
...各々の顔に束の間の歓びの情が溢れて見える...
飯田蛇笏 「茸をたずねる」
...しかし、それも束の間で、いよいよ明日は、「岡山の国家老池田玄蕃殿のお招きにより岡山へ参る」と、いう内蔵助のいつわりの言葉をきいてお軽も二文字屋もがっかりしてしまったのである...
上村松園 「軽女」
...醉ごこちあくがれまどふ束の間を...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...緒戦の華々しいいわゆる戦果も束の間の夢にすぎず...
中谷宇吉郎 「二つの序文」
...与へられた束の間の生のうちに次から次と美しき幻を追ひ...
長與善郎 「青銅の基督」
...部屋の空気が薄紫に淀んだと思ったのも束の間で...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...何れもが束の間も休まうとしない...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...ただ時をり犬の遠吠えが束の間だけ沈黙(しじま)を破るのみで...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...その夜、家に帰って見た夢にその方のお心を包んだ光が幻のように現れて、乱れた心であてもなく言葉を言い交わしましたが、それも束の間、人に情けはあるものなのに、薄情にも私を見捨てて去っていく姿は、繋ぎ止めようとしてもできない、水に映った月のよう...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...その束の間の訪いを証言している...
A. ブラックウッド A. Blackwood The Creative CAT 訳 「盗聴者」
...いつかこの国は科学者たちの恩恵を知るだろうよ」ロンデール医師が外を見ると、群衆が喜び叫んで、陽光灼熱など意に介さず、束の間、恍惚状態だ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「死の川」
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三好達治 「池のほとりに柿の木あり」
...とどまる者はせんなく煙草を燻ゆらせる束の間に...
三好達治 「測量船」
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三好達治 「駱駝の瘤にまたがつて」
...この束の間の知識のために...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...この願いはあの束の間の快楽についてこそふさわしい...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...ソクラテスはこれを「束の間の権威」と...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
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