...葉子は傘(かさ)を杖(つえ)にしながら思いにふけって歩いて行った...
有島武郎 「或る女」
...机の上に頬杖をついて煙草をふかしながら...
大杉栄 「日本脱出記」
...』社長は杖のさきで出来上つた熊の彫りものを指さしながら訊いた...
薄田泣菫 「価」
...婆さんの頭をしたたか杖のさきで叩きつけた...
薄田泣菫 「茶話」
...さうして、私はその遠足の時には、奇妙に服装に凝つて、鍔のひろい麦藁帽に兄が富士登山の時に使つた神社の焼印の綺麗に幾つも押されてある白木の杖、先生から出来るだけ身軽にして草鞋、と言はれたのに私だけ不要の袴を着け、長い靴下に編上の靴をはいて、なよなよと媚を含んで出かけたのだが、一里も歩かぬうちに、もうへたばつて、まづ袴と靴をぬがせられ、草履、といつても片方は赤い緒の草履、片方は藁の緒の草履といふ、片ちんばの、すり切れたみじめな草履をあてがはれ、やがて帽子も取り上げられ、杖もおあづけ、たうとう病人用として学校で傭つて行つた荷車に載せられ、家へ帰つた時の恰好つたら、出て行く時の輝かしさの片影も無く、靴を片手にぶらさげ、杖にすがり、などと私は調子づいて話して皆を笑はせてゐると、「おうい...
太宰治 「津軽」
...杖を持って出て往った...
田中貢太郎 「嬌娜」
...さては杖をかざして...
谷譲次 「踊る地平線」
...尉も鍬を杖につきながら...
谷崎潤一郎 「三人法師」
...波浪の上を涯(はてし)なき大地の上を翔くるもの――續いて彼は杖を取る...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...○杖は日本人もこれを携(たずさう)るもの多し...
永井荷風 「洋服論」
...杖の上に置いた手の甲に顔をうずめて泣きましたが...
中里介山 「大菩薩峠」
...お雪ちゃんの振り上げる杖の瞬間だけに敬意を払って...
中里介山 「大菩薩峠」
...竜之助は、杖にもたれて、それを待伏せしておりますと、現われたのは察しの通り、息せききって、背に余る大きな荷物、これは八升炊きの大釜でした、この大釜を縄でからげて、背中へ背負い込んで、屈(かが)んで歩いて来たところは、釜を負うて来るのではない、釜に押しつぶされながら、その下を這(は)い出して来るような形であります...
中里介山 「大菩薩峠」
...敬太郎はそのひまに例の洋杖(ステッキ)を傘入(かさいれ)から抽(ぬ)き取ったなり...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...これに乗るか降りるかだ」「この男は何て強靭な頭脳を持っているんだろう!」ラスチニャックはヴォートランが杖を腕に抱えて静かに立ち上がるのを見ながら...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
......
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...金剛杖と戒刀をもって天下無敵の玄妙を自得したのである...
吉川英治 「剣難女難」
...あなたの刀を杖で支えるに必死となって...
吉川英治 「宮本武蔵」
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