...細い巷路(こうじ)の杉垣の奥の門と瓦屋根...
田山花袋 「田舎教師」
...……そんなことを思いながら、フッと庭に目を遣ると、杉垣の傍の、笹混りの草の葉が、既(も)う紅葉(もみじ)するのは、して、何時か末枯(すが)れて了っている中に、ひょろ/\ッと、身長(せい)ばかり伸びて、勢(せい)の無いコスモスが三四本わびしそうに咲き遅れている...
近松秋江 「別れたる妻に送る手紙」
...とある杉垣の内を覗(のぞ)けば立ち並ぶ墓碑苔(こけ)黒き中にまだ生々しき土饅頭(どまんじゅう)一つ...
寺田寅彦 「半日ある記」
...――今度の住居だといふ杉垣に囲まれた古い家についた...
中勘助 「銀の匙」
...その家とは裏の畑を間にほんの杉垣ひとへをへだててるばかりで自由に往き来ができる...
中勘助 「銀の匙」
...杉垣を引き抜いて...
夏目漱石 「門」
...元(もと)は枯枝(かれえだ)の交(まじ)つた杉垣(すぎがき)があつて...
夏目漱石 「門」
...西側の杉垣のそばまでくると...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...杉垣の上から出たる梧桐(ごとう)の枝を軽(かろ)く誘ってばらばらと二三枚の葉が枯菊の茂みに落ちた...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...杉垣の隙から、いるかなと思って見渡すと、三毛子は正月だから首輪の新しいのをして行儀よく椽側(えんがわ)に坐っている...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...植木屋を入れた杉垣根の写生としか受け取れない...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...即ち小説は一九三九年の九月にかいて十一月の中央公論に発表された「杉垣」が...
宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第五巻)」
...これは武田さんの月評からひき出された感想で、「杉垣」が、翻訳小説なら随分佳作として称讚しただろうが、日本の小説性格形成の過程と西洋的なのとは全くちがう、私のはつくりものと云うのですが、作品との関係では云うこともないが、そこに彼の散文精神の風俗小説的限度があるのです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...「杉垣」はもっともトピックとして語ってはいない...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...前かきかけていたのとはちがう題材でどちらかというと「杉垣」の種類のものです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...「広場」「おもかげ」「昔の火事」「杉垣」その他『新女苑』にかいた短篇三つ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...更にこの「杉垣」は火の見の見える二階の白い蚊帳の裾にさす月があるの...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...(「杉垣」「朝の風」そのほか短篇)長い小説で...
宮本百合子 「獄中への手紙」
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