...位置によっては言葉尻まで判るほど明瞭に耳朶(じだ)に響いて来るのだ...
梅崎春生 「日の果て」
...重い鉄扉(てっぴ)に耳朶(みみたぶ)をおっつけて...
海野十三 「夜泣き鉄骨」
...それは何か困つた事に出会(でくは)すと直ぐ自分の耳朶(みゝたぶ)を引張らずには居られないといふ事だ...
薄田泣菫 「茶話」
...顱頂部(ろちょうぶ)から耳朶(じだ)の上へ被らせているのが...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...彼の右の耳朶(みゝたぼ)を...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...あのやうなことを――』『あの粗朶を賣つて...
田山花袋 「道綱の母」
...たとい恋人の指先や乳首や耳朶であろうとも...
豊島与志雄 「奇怪な話」
...急峻な山腹を今一朶の雲が駈けのぼるやうにして頂から横に走つて山を離れると磐梯の全形が明かである...
長塚節 「鉛筆日抄」
...彼(かれ)は復(ま)た火鉢(ひばち)へ麁朶(そだ)を足(た)して重箱(ぢゆうばこ)の飯(めし)を鍋(なべ)へ入(い)れた...
長塚節 「土」
...彼(かれ)は殆(ほと)んど動(うご)かぬやうにして棄(す)てゝ置(お)けばすつと深(ふか)く沈(しづ)んで畢(しま)つたやうに冷(さ)めて行(ゆ)く火(ひ)へぽちり/\と麁朶(そだ)を足(た)して居(ゐ)た...
長塚節 「土」
...其(その)濁(にご)つた音(おと)が彗星(はうきぼし)の尾(を)の樣(やう)にぼうと宗助(そうすけ)の耳朶(みゝたぶ)にしばらく響(ひゞ)いてゐた...
夏目漱石 「門」
...女は一朶(いらだ)の焔(ほのお)のように...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...庭には歯朶や芭蕉が繁つて居り...
原民喜 「かげろふ断章」
...椅子を動かす音が雑然と彼の耳朶(みみたぶ)を打ってきた...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「外套」
...今度は朶寮の前の廣場を通り拔けていつた...
堀辰雄 「葉櫻日記」
...よく考えてごらんなさい……」ひしと粗朶をお折りになった音が...
山本周五郎 「日本婦道記」
...まるであたり一面の歯朶の山野は狂人の放し飼いをしてある牧場みたいなものであった...
横光利一 「馬車」
...柴朶垣(しだがき)の外には...
吉川英治 「宮本武蔵」
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