...庭前の松の葉が一本々々数えられたとソムナンビュリストの夢のような事をいったりした...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...私は童心に歸つて、それを一本々々、右手で摘んでは左手に束ねてゆく...
海野十三 「恐怖について」
...一本々々生きた髪の毛を植ゑつけて欲しいと言ひ出したら何(ど)うするだらう...
薄田泣菫 「茶話」
...足ノ趾ノ股(また)マデモ一本々々拭イ取リ...
谷崎潤一郎 「瘋癲老人日記」
...一本々々きぬいとをならべたような...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...何の効けんもない事に観音へ頼りて福を求める様の事は本々(もともと)無益に存じ候...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...格子戸(かうしど)の格子(かうし)を一本々々一生懸命に磨(みが)いて居(ゐ)るのもある...
永井荷風 「すみだ川」
...格子戸の格子を一本々々一生懸命に磨いているのもある...
永井荷風 「すみだ川」
...只その音が一本々々の毛が鳴って一束の音にかたまって耳朶(じだ)に達するのは以前と異なる事はない...
夏目漱石 「幻影の盾」
...田の畦(あぜ)一本々々...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...一本々々切口のあたりを覗いてをります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...格子(かうし)一本々々にも...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...肋骨が一本々々めりこんで行ったのだ!)飢えた昔のアヂトを夢みながらむしょうに友がなつかしくなった太陽!―――赤い自画像の中に写しとった歓呼する焔は世界の乾板の上に出没する友の肖像を灼きつけたおゝ...
槇村浩 「青春」
...板に鉋をかける機械や大きな欅の丸木を荒挽(あらびき)する機械や上下の車輪に張り渡されて非常な速さで廻転してゐる鋭利なリボン鋸や水車のやうに廻転してゐる車鋸や鋸の歯を一本々々金剛砂砥(こんがうしやと)で研(みが)いてゐる人間よりも巧妙なる機械やを私は一つとして感心せないで見ることは出来なかつた...
宮地嘉六 「ある職工の手記」
...歯車の歯糞(はくそ)をも一本々々こそぎ落して磨(みが)いたり...
宮地嘉六 「煤煙の臭ひ」
...その手巻の煙草の一本々々に『ゆかり』といふハンコをおして専売局製の『ひかり』に見せかけようとの思ひつきであつた...
宮地嘉六 「老残」
...これなどは一本々々といはずに...
吉川英治 「折々の記」
...釘も一本々々鍛つたむかしの角釘がつかつてあつた...
吉川英治 「折々の記」
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