...未熟な作家の一人なる私の考へが...
有島武郎 「水野仙子氏の作品について」
...自分の書いた、未熟な、幼稚なもの――それを金に代へると云ふ事は、考へる程空おそろしい気がした...
伊藤野枝 「惑ひ」
...「未熟な身が、何時(いつ)までもこの霊窟におりますのは勿体のうございますから、お別れいたしたいと思いますが、このうえとも御指教(ごしきょう)を願います」「それでは、今日は帰るがよかろう、そこまで見送ってやろう」寿真は河野を伴(つ)れて岩屋を出た...
田中貢太郎 「神仙河野久」
...上述の未熟な所説についてはさらに考え直さなければならない不備の点も多いことと思われるので...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...未熟な娘のかっこうで腐敗した老婆の目つきだった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...ワキよりも地頭よりも未熟なシテの役者をわれわれはしばしば見る...
野上豊一郎 「演出」
...ただ未熟な者が先人の技術の堆積の上にも攀ぢ登れないで...
野上豊一郎 「演出」
...それであるから世間の知つてゐる晶子歌は若い頃の比較的未熟なものに限られることになり...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...こんな世界にまだこんな未熟な感傷があるのはめでたいではないか...
北條民雄 「キリスト者の告白」
...そしてそれには少しも未熟なところがなかつたのである...
堀辰雄 「レエモン ラジィゲ」
...未熟な水泳者には危険な海だつた...
牧野信一 「秋晴れの日」
...実にこの唄はまるで未熟なお稽古(けいこ)娘が口ずさんでいるようで...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...我が芸未熟なればこそ男の小さきが目に立ったのだと語るを聞いて...
南方熊楠 「十二支考」
...無産派の人々が当時の未熟な試案の下でこの社会と文学との上に主張した「出生」の問題――貧乏人でなければ...
宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第三巻)」
...11965やや未熟なる天使岩山の巓(いただき)のめぐりに...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...――まだ未熟なんだな...
山本周五郎 「花も刀も」
...父のように黒とか黄とかいうような凝(こ)った渋好みのものは僕みたいに未熟な者には迚(とて)も使えませんから...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
...未熟な弁を懸命にふるって...
吉川英治 「宮本武蔵」
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