...・松風のみちがみちびいて大師堂・夏めいた雨がそゝぐや木の実の青さや雨音のしたしさの酔うてくるこれからどこをあるかう雨がふりだしたずんぶりぬれて青葉のわたし室積松原の宿木賃料 三十銭米五合 十一銭中ノ上といふところ...
種田山頭火 「行乞記」
...今日は敬坊が、そして樹明君も来庵する筈なので、御馳走をこしらへて待つてゐる、――大根の浅漬、若布の酸物、ちしやなます、等々!春は芽ぶき秋は散る、木の芽、草の芽、木の実、草の実――自然の姿を観てゐると、何ともいへない純真な、そして厳粛な気持になる、万物生成、万象流転はあたりまへといへばそれまでだけれど、私はやつぱり驚く...
種田山頭火 「其中日記」
...裁判所の桜若葉がうつくしくてすつかり葉桜となり別れるバスのとまつたところが刑務所の若葉八ツ手若葉のひつそりとして・お留守らしい青木の実の二つ三つ(みどりさんを訪ねて)雲かげもない日のあなたを訪ねて来た・藤棚の下いつせいにおべんたうをひらいて(紫雲藤...
種田山頭火 「旅日記」
...いろいろの木の実...
寺田寅彦 「軽井沢」
...傾く年の落ち葉木の実といっしょに鵯(ひよどり)の鳴き声も軒ばに降らせた...
寺田寅彦 「花物語」
...木の実が弾丸や玩具(おもちゃ)となった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...十六伯母さんは「木の実どち」をして遊ばせるといつて白玉椿の実を落してくれたが眼が悪いのと力がないのとで狙ひをはづして枝葉ばかり叩き落した...
中勘助 「銀の匙」
...薄い褪紅色(たいこうしょく)の木の実のようなものが山盛りになっている...
久生十蘭 「キャラコさん」
...夢中になって木の実をせせっている...
久生十蘭 「ボニン島物語」
...聖書にて智恵の木の実と読みたりし木の実食らひて智恵を失ふ聖書にある智恵の木の実とは何であるか...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...出ると、木の実へ寄り、トンカツと天ぷらを食ひ、菊ずし迄行って、すしを食ふ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...赤い木の実で染めて...
夢野久作 「猿小僧」
...これを加えても木の実は割れない...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「幽霊島」
...そしてしなった木の実の如く彼等をぶらぶらとゆり動かす風はその枝よりもなお強かった...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「女王スカァアの笑い」
...久しい間方々を迷ひ歩いてゐて木の実を食つてゐました...
クスミン Mikhail Alekseevich Kuzmin 森林太郎訳 「フロルスと賊と」
...禁断の木の実や花が...
吉川英治 「私本太平記」
...一箇の木の実が落下する小ささに似ていた...
吉川英治 「私本太平記」
...小禽(ことり)の啄(ついば)んでいる木の実を見なかった...
吉川英治 「新書太閤記」
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