...あらゆる差別のやうに朦朧(もうろう)としてゐる...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...あるは朧(おぼろ)に色褪(さ)めし...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...もう私自身には何とすることもできないのです」「それなら殿下は……」初めてこの瞬間に私には大使館の執(と)っている処置の全貌が朧(おぼろ)げに飲み込めたような気がして...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...今も私の脳裡に朦朧と...
外村繁 「澪標」
...」宿酔の記憶は朦朧としている...
豊島与志雄 「女客一週間」
...子供の折に見覚えた朧(おぼ)ろなる過去の景色の再来と...
永井荷風 「すみだ川」
...彼は朧気(おぼろげ)にその淋(さび)しさを感ずる場合さえあった...
夏目漱石 「道草」
......
野口雨情 「別後」
...朧の月が橋の下の浅ましい世界を夢の国のように照し出しました...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...朧月(おぼろづき)の街に飛び出したのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...朧ろにかすむ紅色の軒灯や...
萩原朔太郎 「石段上りの街」
...アルルの近郊(プロヴァンス)に近い平坦な野原に朦朧とたたずむ橄欖(オリーブ)の矮林(わいりん)のそばを轟々(ごうごう)たる疾駆を続けてゆく...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...犬猫ならでもだんだん周囲の所在が朧に見えてくるようにいま圓朝も心の闇の中に薄々行く手の何ものかの見えだしてくることを感じたのだった...
正岡容 「小説 圓朝」
...朦朧(もうろう)と照された中で...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...おれは十五六年前にも或女を伴れた旅行でこんな経験をしたことを朧気に思ひ出したが...
與謝野寛 「素描」
...妾は朦朧(もうろう)とした意志に危険を直覚して...
吉行エイスケ 「バルザックの寝巻姿」
...朧気(おぼろげ)ながら...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...月明に輝く朧(おぼ)ろな空間が...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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