...朦朧(もうろう)と踞(しゃが)んだ手から...
泉鏡花 「悪獣篇」
...意識の朦朧(もうろう)たる裡(うち)にも...
海野十三 「鞄らしくない鞄」
...洛外を歩きまわり米銭を集めるものでその鉢たたきが来なくなるといつの間にか朧になって春めいているというのであります...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...背の高い痩(やせ)ぎすな男の姿が朦朧(もうろう)としてあらわれた...
田中貢太郎 「女の怪異」
...けじめを朦朧(もうろう)とぼかして置いた方がよい...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...卿は狂人であったのです」高い帽子をいただき鋤を担いだゴーの黒い影法師が暮れ行く空に朧げな外線を劃(かく)しながら窓硝子を過ぎて行った...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「作男・ゴーの名誉」
...朧ろな街路だった...
豊島与志雄 「春盲」
...そして月が朧ろに暗い空に懸っていた...
豊島与志雄 「囚われ」
...やがて朧(おぼろ)ながらにも...
永井荷風 「十九の秋」
...私は今まで書物や絵で見ていた江戸時代の数ある名園の有様をば朧気(おぼろげ)ながら心の中(うち)に描出(えがきだ)した...
永井荷風 「日和下駄」
...その腰から裾へ朧染(おぼろぞめ)のように...
中里介山 「大菩薩峠」
...在所(ありか)だけは朧(おぼろ)げながら突留めて参ったという次第でございます」「そうか...
中里介山 「大菩薩峠」
...誰だつたかな」鳶頭の記憶も此邊はすつかり朧(おぼ)ろになります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...アルルの近郊(プロヴァンス)に近い平坦な野原に朦朧とたたずむ橄欖(オリーブ)の矮林(わいりん)のそばを轟々(ごうごう)たる疾駆を続けてゆく...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...他のものは朧(おぼ)ろに...
本庄陸男 「石狩川」
...朧ろながらも千鶴子だと彼はすぐ思った...
横光利一 「旅愁」
...やがてふと気づいたときは誰もみえない朧夜(おぼろよ)の一殿(でん)だった...
吉川英治 「私本太平記」
...三十基が朧(おぼろ)に彼方へ見え出してくる...
吉川英治 「新・水滸伝」
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