...それも遠い昔の記憶のように朧(おぼろ)げにしかわからない...
芥川龍之介 「袈裟と盛遠」
...お秋(あき)は夜(よ)とも分(わ)かず晝(ひる)とも知(し)らず朧夜(おぼろよ)に迷出(まよひい)でて...
泉鏡太郎 「一席話」
...朦朧(もうろう)とした花環の中に...
泉鏡花 「婦系図」
...皎々(けう/\)たる月遽然(にはか)に曇(くも)りて朦朧(まうろう)たり...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...そのために春の朧月といふやうなものが現れて...
高濱虚子 「二百二十日」
...胸の中で響くような朧(おぼ)ろな弱い声で歌った...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...その上クリストフが自分よりも遠くまで見通しておることを朧(おぼ)ろに意識していた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...私はわからぬながらも歌のなかの知つてる言葉だけをとりあつめて朧(おぼろ)げに一首の意味を想像し...
中勘助 「銀の匙」
...春の朧夜(おぼろよ)を我物顔(わがものがお)に咽喉(のど)一杯の声張上げて投節(なげぶし)歌ひ行くなるべし...
永井荷風 「江戸芸術論」
...余は日本人の皮膚の色とその朦朧(もうろう)たる顔面並にやや遅鈍なる輪廓は写楽の手法を以てするの外(ほか)決して他にこれを現はすの方法なかるべしと信ずるものなり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...半ば以上無意識の朦朧(もうろう)たる眼をもって...
中里介山 「大菩薩峠」
...女の影の朧(おぼろ)かな」の下に「花の影女の影を重(かさ)ねけり」とつけてある...
夏目漱石 「草枕」
...自分はこの明瞭でかつ朦朧(もうろう)なる亭主の頭を居眠りの不知覚から我に返る咄嗟(とっさ)にふと見たんである...
夏目漱石 「坑夫」
...夢見るような朧(おぼろ)の中には...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...朧月(おぼろづき)に透して見るまでもなく...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...寄席朧夜今から十二...
正岡容 「寄席行燈」
...朧ろながらも千鶴子だと彼はすぐ思った...
横光利一 「旅愁」
...寂土の朧(おぼろ)に浸(ひた)り入った態(てい)で説くのであった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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