...津藤は、月あかりで、これを出入の太鼓医者竹内(ちくない)だと思つた...
芥川龍之介 「孤独地獄」
...――次郎はその時、月あかりに、汗にぬれた赤ひげと切り裂かれた樺桜(かばざくら)の直垂(ひたたれ)とを、相手の男に認めたのである...
芥川龍之介 「偸盗」
...その人戀ひつつ月あかりに...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...・茶の木の雪のもうとけた・雪の小鳥よとんできたかよ敬坊にごつちやに寝てゐる月あかり・月がのぼればふくらううたひはじめた・雪空...
種田山頭火 「其中日記」
...・明けてくる物みな澄んで時計ちくたく・はなれたかげはをとことをなごの寒い月あかり・けさの雪へ最初の足あとつけて郵便やさん・とぼ/\もどる凩のみちがまつすぐここに家してお正月の南天あかしたまたま落葉ふむ音がすれば鮮人の屑買ひ緑平老の愛犬ネロが行方不明となつたと知らされて二句・冬空のどちらへいつてしまつたか・犬も(ネロも)ゐなくなつた夫婦ぎりの冬夜のラヂオ一月廿一日曇...
種田山頭火 「其中日記」
......
種田山頭火 「草木塔」
......
種田山頭火 「草木塔」
...月あかりがして水声がどこからともき(マヽ)こえる...
種田山頭火 「旅日記」
...月あかりの向ふにみんなみんな消えていつた弟のやつも 母も 友だちも消えていつた船尾にうごくさびしい旗と...
仲村渠 「月あかり」
...私達は月あかりの芝生で土産の弁当籠をあけて家へ向ふのも忘れた...
牧野信一 「熱海線私語」
...皎々たる月あかりで虫の音も絶えてゐた...
牧野信一 「鬼の門」
...月あかりの夜道をごろ/\と呑気な音をたてゝ進んで行く馬車の上で雪子から聞かされたが...
牧野信一 「ダイアナの馬」
...夢中で飛び出した私は月あかりを浴びてまつしぐらに駆け出した私の馬車の上で...
牧野信一 「武者窓日記」
...月あかりに見下ろして立つのは...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...」月あかりの中にまっすぐに立った電信柱が...
宮澤賢治 「氷と後光」
...飲みさしの燗瓶もそこにちゃんと立っていたのですから月あかりを便りにした事は間違いないと思いますので……こればっかりは不思議で不思議で仕様がないので御座います...
夢野久作 「S岬西洋婦人絞殺事件」
...神の寢顏だ!私は眞實にさう思つて大きな二日月の月あかりに...
吉川英治 「折々の記」
...両袖(りょうそで)を顔(かお)にあてたまま濠にむかってさめざめと泣(な)いているようす……月あかりを避(さ)けているが...
吉川英治 「神州天馬侠」
便利!手書き漢字入力検索