...葉子は荒神に最愛のものを生牲(いけにえ)として願いをきいてもらおうとする太古(たいこ)の人のような必死な心になっていた...
有島武郎 「或る女」
...山科に隠栖し、花鳥風月をともにして、吉良方の見張りの眼を紛らわしていた大石内蔵助は、しかし、それだけでは、まだまだ吉良方の警戒をゆるめさせることの出来ないのを悟って、元禄十五年の春ころから、酒に親しみ出し、祇園に遊んで放縦の日々を送るようになり、果ては最愛の、貞淑のほまれ高い内室までも離別して、豊岡の石束家へ返してしまった...
上村松園 「軽女」
...この最愛の孫に一つ悲むべきことがある...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...『メーリオネース、モロスの子、最愛の者、脚早き汝何故亂戰と苦鬪を捨てゝこゝに來し? 250疵を負ひしや? 鋭き矢或は汝惱ますや?或はとある使命帶びわれを訪ふべく來りしや?我は陣舍に留るを好まず出でて戰はむ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...其最愛の子と誇るヘーラクレース偉なりしも...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...45抑も人は最愛のものを――例へば同胞の兄弟あるは恩愛の子らを失ふことあらむ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...最愛の妻を失うた夫...
中里介山 「大菩薩峠」
...最愛の妻ワリスパパンよ酒をつくってまっておれ間もなく自分も汝(なんじ)のもとへ行く最愛の息子ワリスタダオよ酒を汲んでまっておれ間もなく自分も汝のもとへ行く翌々十日...
中村地平 「霧の蕃社」
...まして病んでゐる最愛の妻を遠くへ一人でやつて...
中谷宇吉郎 「『団栗』のことなど」
...血の出るほどの苦しき金(かね)をも調達して最愛の妻や病児をも跡(あと)に残して...
福田英子 「妾の半生涯」
...最愛の女性を殺すのだから...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「道化玉座」
...最愛のマーガレットへ...
ルイザ・メイ・オルコット L. M. Alcott 水谷まさる訳 「若草物語」
...最愛の正当な理解をくみとるのをつとめてもいるし...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...自分に最愛の妻があった時代にも他との恋愛の遊戯はやめなかった自分も...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...当もない忠義立てのために最愛の妻を犬死にさせた……という事を...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...まさにわが最愛の親か子が...
吉川英治 「三国志」
...最愛の妻子をこの大ばくちに賭(か)けたのであり...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
...ほかならぬわが最愛の女房が手ずから縫ってくれた...
レスコーフ Nikolai Semyonovich Leskov 神西清訳 「真珠の首飾り」
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