...いかなれば葉広き夏の蔓草(つるくさ)のはなを愛して曾てそをきみの蒔かざる...
伊東静雄 「詩集夏花」
...最後(さいご)にアイヌの爲に北海道の地より更(さら)に北方に追ひ遣られたるならんと考へらるアイヌとはコロボックルと曾(かつ)て平和の交際(かうえき)をも爲したりしと云ふに如何(いか)にして...
坪井正五郎 「コロボックル風俗考」
...――で今日の(文学的)自由主義は殆んど凡て人間学主義だという事実を注意するがいい(曾て「人格主義」というものがあったが...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...知らず皇帝は曾て宮中粛清を誡めたることあるか...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...美濃路と木曾路の振分け路――垂井の泉をむすんで...
中里介山 「大菩薩峠」
...ところで人類科学史上未曾有(みぞう)の大事件たる原子爆弾の研究に...
中谷宇吉郎 「原子爆弾雑話」
...曾(かつ)て二十年前の大晦日の晩...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...尤(もっと)も曾(かつ)てじゃらくらが高じてどやぐやと成ッた時...
二葉亭四迷 「浮雲」
...もう木曾路ともお別れだ...
堀辰雄 「辛夷の花」
...折角の姿勢と未曾有の恍惚状態を崩すのが惜しまれて尚も微動さへ浮べなかつた...
牧野信一 「夜見の巻」
...曾祖父といった人たちのことを大変よく書いているので...
柳田国男 「故郷七十年」
...石神(いしがみ)という山は附馬牛と達曾部(たっそべ)との間にありて...
柳田国男 「遠野物語」
...未だ曾てなかったのである...
夢野久作 「暗黒公使」
...溌溂(はつらつ)たる素朴と未曾有(みぞう)の喜びの精神と様式とが前に現れる...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...木曾福島の木曾義昌(よしまさ)も...
吉川英治 「新書太閤記」
...結局、留まるもの、わずか二十七人という窮状におち入って、ついに三七信孝も、城を遁れ、長良川から船に投じて、木曾川を降り、尾張知多へ落ちて行った...
吉川英治 「新書太閤記」
...木曾川を中心とする尾濃(びのう)の山野たることはいうまでもない...
吉川英治 「新書太閤記」
...これは曾て伊豆の西海岸をぼつ/\と歩いて通つた紀行の中から拔いたものである...
若山牧水 「樹木とその葉」
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