...金と銀との花の盞から静かにこぼれ落ちる金と銀との花の芬香(ふんかう)は、大気の動きにつれて、音もなくあたりに浸(し)み透(とほ)り、また揺曳する...
薄田泣菫 「水仙の幻想」
...白雪も時雨もいたくもる山は下葉のこらず紅葉しにけり足曳の山かきくらし時雨るれど紅葉はなほぞ照りまさりけるとある類であります...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...なぜ面と向って私に仰いませんのでしょう……? 可哀そうに何の罪(つみ)咎(とが)もない悲哀(トリステサ)にお当りになるなんて! まあなんて卑怯な方なんでしょう」跛(びっこ)を曳(ひ)きつつ恐ろしそうに...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...芸人と関係して媾曳(あいびき)していると云うことを聞いたので...
田中貢太郎 「水魔」
...そんな時には眞綿の如き純白の雲が腰から下を横樣に棚曳いたまゝ凝乎と動かずにゐる...
近松秋江 「箱根の山々」
...テルソン銀行の戸口にいる馬の番人が馬を曳いて逃走して死刑に処せられた...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...近頃日和下駄を曳摺(ひきず)って散歩する中(うち)...
永井荷風 「日和下駄」
...流れ星が尾を曳(ひ)いて...
中島敦 「悟浄歎異」
......
野口雨情 「未刊童謡」
...彼は馬を停めようとして激しく轡を曳き緊めたが...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...洋服人が網を曳(ひ)いている...
柳田国男 「木綿以前の事」
...疲れ切つたエスキモー犬の曳きかたが弱いと...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...外へ曳き出された...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
...まず第一の監視所の阜(おか)から烽火を揚げる――夜ならば曳光弾(えいこうだん)を揚げる――第二の監視所はそれを知るやまたすぐ同様に打ち揚げる...
吉川英治 「三国志」
...鷹(たか)を、こぶしに据え、犬を曳かせて、浜松近傍の田舎を、従者七、八名と共にほっつき歩いている背のまろいずんぐりした四十六、七歳の武家があるなと、よく見かけるのを注意していると、それが家康であった...
吉川英治 「新書太閤記」
...泉岳寺へ石碑を曳きこんで...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...わしが曳こう」「いや...
吉川英治 「親鸞」
...人品のいい乞食が躄車(いざりぐるま)に曳かれている...
吉川英治 「八寒道中」
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