...五尺の軒から底無しの花曇りの空を仰いだ時...
石川啄木 「菊池君」
...親たちの目は曇りやしない...
泉鏡花 「婦系図」
...厚い鼠色の曇り空を通して...
海野十三 「深夜の市長」
...樹間(このま)を洩れてくる折りからの晩春の薄曇りの陽を浴びて...
橘外男 「逗子物語」
...全体にかぶさっている濁りあるいは曇りのようなものがあってそれが気になるだろうと思われる...
寺田寅彦 「蓄音機」
...低い曇り空の下に...
豊島与志雄 「反抗」
...曇りのかかってる眼を空に据えた...
豊島与志雄 「林檎」
...曇りし空の光は軒先に遮(さえぎ)られ...
永井荷風 「浮世絵の鑑賞」
...迷惑がかかるといけませんからね」「そうかなあ」与八の面(かお)の色が少し曇ります...
中里介山 「大菩薩峠」
...梅雨季の薄曇りの朝...
三好十郎 「好日」
...折柄のしぐれ空の曇りが一さいをもうろうとぼかしてゐて...
室生犀星 「帆の世界」
...たとえば今から四百年近くも前の、奈良の大きなお寺などでは、月々の十七日から始めて、二十三夜まで七夜の間、毎夜の月を拝んでこれを七夜待(ななよまち)といい、その晴れ曇りと、月のお形のいろいろによって、一年間の吉凶を卜(ぼく)したことが多聞院日記(たもんいんにっき)という本には書いてある...
柳田国男 「年中行事覚書」
...外は曇りで、あまり強くはないが風が吹いていた...
山本周五郎 「さぶ」
...鏡の曇りのような薄い汗が顔に浮いていたが...
吉川英治 「宮本武蔵」
...いやそればかりか彼らの曇りない商家の血統にたいしてまで...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
...天気は陰気にうす曇り...
魯迅 佐藤春夫訳 「故郷」
...翌朝は深い曇りであつた...
若山牧水 「比叡山」
...空が一面に薄曇りになって...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
便利!手書き漢字入力検索