...或時は満天煙の如く潮曇りして...
石川啄木 「閑天地」
...リンデンの枯葉の落つる秋もまたけおもき空は曇りてあるなりこれは前の歌のような感じを得られない歌である...
伊藤左千夫 「歌の潤い」
...雨のパラつく薄曇りの日であったが...
大下宇陀児 「乱歩分析」
...霞む刀に心も曇り...
高山樗牛 「瀧口入道」
...それをめぐつて草萌える・よい湯からよい月へ出た・はや芽ぶく樹で啼いてゐる・笠へぽつとり椿だつたはなれて水音の薊いちりん・石をまつり緋桃白桃・みんな芽ぶいた空へあゆむ四月五日花曇り...
種田山頭火 「行乞記」
...……四月十四日雨となるらしい曇り...
種田山頭火 「行乞記」
...樹明君に・月あかりのしたしい足音がやつてくる自分自身に椿が咲いたり落ちたり道は庵まで春雪二句追加・雪すこし石の上・ぶら/\あるけば淡雪ところ/″\・霜どけの道をまがると焼場で・墓場したしうて鴉なく・早春の曇り日の墓のかたむき春の野が長い長い汽車を走らせる三月十一日何もかも食べつくしてしまつた...
種田山頭火 「其中日記」
...私たちの高感度で曇りのない目から見ると...
O. H. ダンバー O. H. Dunbar The Creative CAT 訳 「感覚の殻」
...雨に曇りに、午前に午後に芝生の色はさまざまな変化を見せる...
寺田寅彦 「芝刈り」
...薄曇りの春の日が硝子障子に反映して...
豊島与志雄 「過渡人」
...西空は薄曇り、陽光が淡くなってゆきました...
豊島与志雄 「沼のほとり」
...薄曇りの空が針葉の間から隙いて見える...
中原中也 「校長」
...物を探る額の曇り...
長谷川時雨 「樋口一葉」
...曇り硝子に映る影がもう一度湯気の中へ沈んだ...
牧野信一 「まぼろし」
...魚の鱗のような曇りを私の白内障のような眼から取り去って呉れ...
松永延造 「職工と微笑」
...兄の血潮でその曇りを拭いてくれ...
吉川英治 「剣難女難」
...太陽の曇りだす日が先か...
吉川英治 「新書太閤記」
...陶酔にやや心を緩(ゆる)うしているらしい曇りのない快活な情緒が...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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