...彼はこんな心持をしながら日の暮れ方に郊外の家に歸つた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...日の暮れ方で、気持のいい森の香や手を延して、上から下っている枝で捕えることの出来る奇妙な昆虫や、一列をなしてガラガラ進む変な馬や変な騎手たちによって、私は愉快な一時間をすごし、而もそのどの一分間をも、私は楽しんだ...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...そして日の暮れ方...
石川欣一 「山を思う」
...暮れ方のうるみを帯びた物しづかな低い波の音につれる子守歌がたまらなく悲しい...
伊藤野枝 「日記より」
...春の日のある暮れ方二三の遊び友達と遊んだあとで何かつまらない落し物を探していた...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...暮れ方、酒と魚とを持つて樹明君来訪、まことによい酒よい話であつた、酒を飲みつくしてめでたく別れる、後始末してから、ぐつすり寝る...
種田山頭火 「其中日記」
...ある日暮れ方に庭へ出ていると台所がにぎやかになった...
寺田寅彦 「ねずみと猫」
...三日目の暮れ方に...
夏目漱石 「門」
...なんといふいたましい風物だらうどこにもくびのながい花が咲いてそれがゆらゆらと動いてゐるのだ考へることもない かうして暮れ方(がた)がちかづくのだらう戀や孤獨やの一生からはりあひのない心像も消えてしまつて ほのかに幽靈のやうに見えるばかりだ...
萩原朔太郎 「青猫」
...日暮れ方のような暗さになって...
久生十蘭 「藤九郎の島」
...一昨日の暮れ方、乗物町(のりものちょう)の師匠として聞えている笛の名人豊住又七(とよずみまたしち)が、用達しの帰り、自宅の近くまで差しかかった時、手拭いで顔を包んだ屈強な男が一人矢庭(やにわ)に陰から飛び出して来て、物をもいわずに又七を、それも、まるで猫の児かなんぞのように溝の中へ投げつけるが早いか、何処ともなく風のように消えてしまったというのである...
牧逸馬 「助五郎余罪」
...いかにも晩春の暮れ方らしくホンノリと水浅黄色の薄闇がただよっている...
正岡容 「寄席」
...みんなアンナ風に日暮れ方のような冷たい...
夢野久作 「狂人は笑う」
...皆空腹を抱えながら日の暮れ方まで歩き続けた...
夢野久作 「近世快人伝」
...その日の暮れ方に舟着場へ持って来た...
夢野久作 「名娼満月」
...昨日の暮れ方、家に帰って参りました」「おお...
吉川英治 「三国志」
...無理に暮れ方をいそいだからですよ...
吉川英治 「宮本武蔵」
...ほとんど日も暮れ方になって「――奥さま...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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