...横町の後暗さは冥土(よみじ)にも増(まさ)るのみか...
泉鏡花 「婦系図」
...外はもう霜でも下りそうな暗さであるのに...
海野十三 「深夜の市長」
...いくばくもなくして暗さのため爪先が見えなくなった...
海野十三 「地球盗難」
...夜の暗さにまぎれ...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...彼の特徴だった暗さが微塵(みじん)もなく...
高見順 「いやな感じ」
...平治物語に拠ると、「十二月二十七日の夜更方の事なれば、暗さは暗し、先も見えねども、馬に任せて只一騎、心細く落ち給う...
太宰治 「花吹雪」
...町は防空演習の晩さながらの暗さとなり...
徳田秋声 「縮図」
...川面(かわづら)の薄暗さを幸(さいわい)に彼方(かなた)にも此方(こなた)にも流れのままに漂(ただよわ)してある屋根船の数々...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...大垣伊右衛門の顔の暗さ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...明るさの蔭の暗さ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...日暮れ方のような暗さになって...
久生十蘭 「藤九郎の島」
...暗さは之で恰度好いから……」そして空想の中に於てではあるが...
松永延造 「職工と微笑」
...ものの読めない暗さで走っているそうです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...三十何年間の女王としての経験からマリーの悲劇を予見し自国の将来にも暗さを見たのでしたが...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...暗さに馴れた眼で見ると...
山本周五郎 「風流太平記」
...暗さで初めは分らなかったが...
横光利一 「旅愁」
...いい知れない心の暗さに...
吉川英治 「私本太平記」
...武蔵としては、そんなふうにしか下手人を考えられなかったが、それとて闇をつかむようなもので、野婦之池(のぶのいけ)の方角というだけを目あてに急いでみたが、陽が暮れると、冴え切った星空に反して、地上の暗さは、一尺先の足元も覚(おぼ)つかない...
吉川英治 「宮本武蔵」
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