...日暖に草緑なる四邊(あたり)の景と相容れざるものゝ如し...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...なにしろあちらは寒暖の差が激しくて...
梅崎春生 「狂い凧」
...吹き来る風もどことなく生暖かい...
高浜虚子 「別府温泉」
...二人差向いでお宮にたき立ての暖かい御飯の給侍(きゅうじ)をしてもらって食ぺていると...
近松秋江 「うつり香」
...彼は先んじて寒暖計や懷中時計を生活にとりいれた人だが...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...今年は暖冬で、山の雪が早く溶けたのかも知れないね」「お宅へ鶯が来るんですか」花井夫人が静かな声で言う...
外村繁 「落日の光景」
...黒地の防寒服は、太陽の輻射熱を心ゆくばかり吸って、身体は暖かく、そして空気は冷い...
中谷宇吉郎 「雪後記」
...彼は南側のなるべく暖かそうな所に席をとった...
夏目漱石 「野分」
...暖簾(のれん)を分けてやるはずでしたが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...不二屋の暖簾(のれん)をくゞつて御覽なさいよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...暖かく心をひたし始めた...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...雪の余り降らない暖かい大磯には珍しい大雪が偶降り出した...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...又動植物の假死は氣候に關係し氣候の寒暖によつて出來るのであるが...
松本文三郎 「印度の聖人」
...それらもイエニーの明るく暖い心持を傷つけることは出来なかった...
宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
...一〇 世持神と世持役ことに南方の諸島においては、温暖多湿の一、二点は別にして、自然の条件は必ずしも万全であったとは言えない...
柳田国男 「海上の道」
...「役所の事務というものは、どこに限らずたやすく練達できるものではございません、勘定所の、ことに御上納係は、その年どしの年貢割りをきめる重要な役目で、常づね農民と親しく接し、その郷、その村のじっさいの事情をよく知っていなければならぬ、これには年数と経験が絶対に必要です、単に豊凶をみわけるだけでも私は八年かかりました、そして現在では、私を措いてほかにこの役目を任すことのできる者はおりません、……それとも誰か私に代るべき人物がございましょうか」「正直に申して代るべき者はない」「……こんどの話がどうして始まったか、推挙して呉れる人の気持がどこにあるか、私にはよくわかっています」三右衛門はこう続けた、「その人たちには私が栄えない役を勤め、いつまでも貧寒でいることが気のどくにみえるのです、なるほど人間は豊かに住み、暖かく着、美味をたべて暮すほうがよい、たしかにそのほうが貧窮であるより望ましいことです、なぜ望ましいかというと、貧しい生活をしている者は、とかく富貴でさえあれば生きる甲斐があるように思いやすい、……美味(うま)いものを食い、ものみ遊山をし、身ぎれい気ままに暮すことが、粗衣粗食で休むひまなく働くより意義があるように考えやすい、だから貧しいよりは富んだほうが望ましいことはたしかです、然しそれでは思うように出世をし、富貴と安穏が得られたら、それでなにか意義があり満足することができるでしょうか」弥生は身ぶるいをした...
山本周五郎 「日本婦道記」
...暖たまりあしないから...
山本周五郎 「柳橋物語」
...ただ一度かの暖かき手を握りたい...
和辻哲郎 「霊的本能主義」
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