...然う思つて青年は恥づかしい氣がした然うして未練に責められ乍らふと晴れ渡つた空を見て「地面の方が人間より暖いだらうな」と云ふ考へが浮んだ...
千家元麿 「自分は見た」
...聞いたかい」晴れた外気を映した明るい室(へや)には...
田中貢太郎 「春心」
...嫌疑は直ちに晴れたのであったが...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...八月廿四日朝は曇つて厄日前の空模様だつたが、おひ/\晴れた...
種田山頭火 「其中日記」
...今日も晴れて風が吹く...
種田山頭火 「旅日記」
...晴れるほど暑かつた...
種田山頭火 「松山日記」
...前者の「秋の空尾の上(え)の杉(すぎ)に離れたり」「息吹きかえす霍乱(かくらん)の針」「顔に物着てうたたねの月」「いさ心跡なき金のつかい道」等にはなんらか晴れやかに明るいホルンか何かの調子があるに対して「つたい道には丸太ころばす」「足軽の子守(こもり)している八つ下がり」その他には少なくも調子の上でどことなく重く濁ったオボーか何かの音色がこもっている...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...以て天晴れ大忠臣の肝胆を見せたる外には...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...」彼は晴れ晴れとした朝日の光を見やりながら...
豊島与志雄 「古井戸」
...晴れやかさの籠った声で...
豊田三郎 「リラの手紙」
...此日空好く晴れ残暑猶盛なり...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...明くる朝起きて見ると空は拭つたやうに晴れて居た...
長塚節 「隣室の客」
...パサヘの港から見えるビスカヤの海は美しく晴れた空の色を反映して...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...透明な晴ればれした眼でした...
林芙美子 「新生の門」
...晴れあがった春空の下で...
火野葦平 「花と龍」
...私が初めて味はふ一種の晴れやかな悦(よろこ)びがあつた――趣味と感情と主義の完全な一致が齎らす悦びがあつたのだ...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...弱々しい娘の顔はもとのように晴れかかってすこしの曇りのない色に戻った...
室生犀星 「みずうみ」
...「よく晴れましたなあ...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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