...その晩、疲れ果てゝ帰って来た四人の一人が、小舎に残して行った財布が見えないといって、留守番をしていた男を責める...
石川欣一 「山を思う」
...毎晩の様に華やかな絃歌の巷に足を運んだ...
石川啄木 「菊池君」
......
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...晩の丁度六時は、魔物が便所にはいってる時刻で、その時人がはいって行くと、身体のどこかを必ず掻きむしられる...
豊島与志雄 「霧の中」
...十年前にクリストフがパリーへ到着したときと同じような晩だった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...「木下君はどうしたんだ? 昨晩も夜遅くまで帰って来なかったし...
豊島与志雄 「二つの途」
...本陣では前の晩に能登守を泊めたと同じぐらいのもてなしをせねばなりません...
中里介山 「大菩薩峠」
...長浜別院大通寺の方は、本願寺の勢力であんなに宏大であるが、この寺はごらんの通り見すぼらしいものになっているのが、かえってまた保身の道によろしい点もあって、存在を認められないくらいに微禄しておりますればこそ、今日でも寺の周囲に相当の遺蹟も残っておれば、おたずねのような宝物も保存せられている、それをどうかすると聞きかじってたずねて来るものがあるけれども、たいていは、左様なものは昔はあったかも知れないが、今日はもう行方不明じゃ、とこのように申して謝絶しておりますが、貴老に至っては、もはや、せっかく御奇特の儀お見届け申したるにより、残らずお目にかけようと思いますが、何を申すも、夜分ではやむを得ないによって、明朝に至って、ゆっくり御案内を申し上げる、まず今晩は、むさくるしけれど、当屋へ御一泊あってはいかがでござる」こうまで言われて、辞退するような道庵ではありませんでした...
中里介山 「大菩薩峠」
...一と晩だけ俺もその歓楽の夢が見度い」「よかろう」妻木右太之進は素直に応じました...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...「私はあの晩のことを...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...せめて僕の晩年には身を落着けることのできる一つの部屋が欲しい...
原民喜 「災厄の日」
...女史晩年の作の秀れて高い調子は斯る境地から流れ出す自然の結果で...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...殆んど浅草生活の中の何分の一かの毎晩...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...蜜柑の方はジャムの下拵(したごしらえ)のようなもので皮ごと薄く切って一晩水へ漬けてその水で沢山のお砂糖と一所に始終掻き廻しながら一時間ばかり煮詰めたのです」と一々講釈の付いた御馳走...
村井弦斎 「食道楽」
...そうしてやっとの思いで一昨晩コッソリと帰京致しますと...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
...其の晩は西洞といふ山の中の村へ泊つた...
吉江喬松 「山岳美觀」
...そして呼延灼のすすめるままに、翌晩、彼はめんみつな布陣を先にととのえおき、身は、単騎軽装となって、呼延灼を案内に、敵中深くへ忍んで行った...
吉川英治 「新・水滸伝」
...もう晩年に書いた物であるが...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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