...或る晩、深夜に偶(ふ)と眼が覚(さ)めて寝つかれないので、何心なく窓をあけて見ると、鴎外の書斎の裏窓はまだポッカリと明るかった...
内田魯庵 「鴎外博士の追憶」
...その晩の夜ふけに...
江戸川乱歩 「おれは二十面相だ」
...わたしは今晩四ドル二十五セントを支払い...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...水気を含んだ雪の次ぎに一晩の酷寒でも来ようものなら...
谷譲次 「踊る地平線」
...しかしその晩、幸子と東京の噂(うわさ)をした時に、雪子ちゃんが来たそうに云っていたから、それには及ばないと云って置いたけれども、見舞と云う口実もあることだし、どうもやって来そうな口ぶりであった、と云っていたが、案の定その数日後に幸子へ宛(あ)てて手紙が来、九死に一生を得たと云うこいさんの顔も見たいし、思い出の深い蘆屋の里がどんな風に荒らされてしまったのか、実際の有様も見たいし、矢張一度行かないことには気が済まない、ついては近日突然立って行くかも知れない、と云って来ていたのであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...ソーニャちゃんの母御の、亡(な)くなったヴェーラさまだっても、幾晩も寝ずに、苦労なすったものでございましたよ...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「ワーニャ伯父さん」
...彼は飲食店をその夜晩く出て...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...その晩は風の音にまぎれて時計の声も彼には聞えないだろうと思ったからだ...
豊島与志雄 「蠱惑」
...今晩現われたあの芸妓だって...
中里介山 「大菩薩峠」
...わけても作品一二七番以後の晩年の作品は...
野村胡堂 「楽聖物語」
...ちょうどこの時、「親分、今晩は、ちょいとお静さんのお留守見舞よ、入っていい?」表からは二軒置いて隣に住む、昔のお静の朋輩(ほうばい)お町、それは、無抵抗で優しいお静にだけは兜(かぶと)を脱いでおりますが、外の女が平次に指でも差そうとしたら、狂犬(やまいぬ)のように喰(く)い付いてやろうという恐ろしい女です...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...殺した野郎はその晩盗みに入るわけだ」「殺されたと決ったわけじゃあるめえ」「とにかく物騒で放ってもおけないから...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...前の晩父親が庭を這つた證據を隱すためさ」「あ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...前の晩に〈那覇〉へ酒をのみにきたモダン・ガールがあったろう...
久生十蘭 「金狼」
...こんな事が幾晩も幾晩もつづくことがあつた...
平出修 「計畫」
...叔父が襲われたあの晩...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...それが証拠にはあの主人はこの一両日毎晩天候の具合を窺つて星月夜が続いてゐることをたしかめた後に...
牧野信一 「鱗雲」
...そのうちに、伯父の山上清が、ある晩、発作的に精神病的な兆(きざし)を見せ始めたのである...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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