...鹿兒島市附近に於て降灰の最も激甚なりしは一月十七日にして午前中晦冥咫尺を辨ぜず室内燈火を使用せり...
石川成章 「櫻島噴火の概況」
...目を瞑つてうつら/\とし乍ら此晦冥の天地轟々たる夜陰の響と惡戰を續けてゐるやうに感ずる...
高濱虚子 「俳諧師」
...この晦冥な天地と耳を圧する轟音の中で...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...地は定形(かたち)なく曠空(むなし)くして黒暗(やみ)淵(わだ)の面にあり神の霊水の面を覆ひたりき――創世記黒暗(やみ)の潮 今満ちて晦冥の夜(よる)ともなれば仮構の万象そが※性を失し解体の喜びに酔ひ痴れて心をのゝき渾沌の母の胸へと帰入する...
富永太郎 「夜の讃歌」
...まさに天地晦冥(かいめい)の大景観であったにちがいない...
中谷宇吉郎 「黒い月の世界」
...上は黒雲海は晦冥も十割表現で之亦作者の特技の一つであらう...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...凍えた煙を噴きあげて空間を晦冥(かいめい)に包んでしまった...
本庄陸男 「石狩川」
...人間はかえってその理解しえざるものを信仰す(出所不詳)とか人間の精神は晦冥(かいめい)なるものを好んで信仰する傾向あり(タキトゥス)とかいう古人の非難を避ける...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...衣川合戦の前の日に天地晦冥(かいめい)にして人の顔黄に見え...
柳田国男 「雪国の春」
...晦冥(かいめい)な天地に...
吉川英治 「三国志」
...江北一帯もまったく深い晦冥(かいめい)につつまれて...
吉川英治 「三国志」
...ために晦冥(かいめい)...
吉川英治 「三国志」
...因幡(いなば)から伯耆(ほうき)ざかいの山岳を晦冥(かいめい)にして鳴りはためいた...
吉川英治 「私本太平記」
...一天晦冥(いってんかいめい)まったく人界から見えなくなる数日もある...
吉川英治 「新書太閤記」
...信長がなかったらなお乱雲晦冥(らんうんかいめい)の下に...
吉川英治 「新書太閤記」
...ややしばらくは晦冥(かいめい)の修羅(しゅら)だった...
吉川英治 「新書太閤記」
...ふしぎな微蛍光をおびた晦冥(かいめい)につつまれ...
吉川英治 「平の将門」
...すべてはもとの晦冥(かいめい)に帰って...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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