...個から全へ掘り抜けるべきではあるまいか(たまたま時雨亭さんの来信に接して考へさせられた)...
種田山頭火 「行乞記」
...時雨亭氏に)・あなたの足袋でこゝまで三十里(闘牛児氏に)百舌鳥ないてパツと明るうなる・飯のうまさもひとりかみしめて・最後の一粒を味ふ・名残ダリヤ枯れんとして美しい犬が尾をふる柿がうれてゐる腰かける岩を覚えてゐる・よろ/\歩いて故郷の方へ・筧あふるゝ水に住む人なし枯山のけむり一すぢかうして旅の山々の紅葉・ゆきずりの旅人同志で話つきない此宿はよいといふほどではない...
種田山頭火 「行乞記」
...夜は酒壺洞居で句会、時雨亭さん、白楊さん、青炎郎さん、鳥平さん、善七さんさ(マヽ)んに逢つて愉快だつた、散会後、私だけ飲む、寝酒をやるのはよくないのだけれど...
種田山頭火 「行乞記」
...……・ボタ山も灯つてゐる別れる夜の水もぞんぶんに飲み・しぐるゝ今日の山芋売れない親一人子一人のしぐれ日和で新道まつすぐな雨にぬれてきた砂利を踏む旅の心焼き捨てる煙である塵である車、人間の臭を残して去つた地下室を出て雨の街へ飾窓の人形の似顔にたゝずむ大根ぬいてきておろして下さるあんただ(次郎さんに)・濡れてもかまはない道のまつすぐ窓をあけた明るい顔だつた水を挾んでビルデイングの影に影お寺の大銀杏散るだけ散つた・ぬれてふたりで大木を挽いてゐるしぐるゝやラヂオの疳高い声買ふことはない店を見てまはつてる・窓の中のうまいもの見てゐるかどの店も食べるものばかりひろげて・よんでも答へない彼についてゆく十二月の風も吹くにまかさう(寸鶏頭さんに)十二月六日雨、福岡見物、彷徨五里、時雨亭居...
種田山頭火 「行乞記」
...時雨亭さんは神経質である...
種田山頭火 「行乞記」
...またしぐれだした蚤も虱もいつしよに寝ませう暮れ残る頂の枯すゝきすさまじい響の大空曇る時雨亭さんは近代人...
種田山頭火 「行乞記」
...わたや(三〇・中)早く眼は覚めたが――室は別にして寝たが――日曜日は殊に朝寝する時雨亭さんに同情して...
種田山頭火 「行乞記」
...時雨亭さん桂子さんから...
種田山頭火 「行乞記」
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