...さうして此後(このご)も大凡(おほよ)そこんな状勢(じやうせい)で進(すゝ)むからして從(したがつ)て少(すくな)くも是迄(これまで)彌(いや)が上(うへ)に殖(ふ)えて來(き)た國債(こくさい)の總額(そうがく)を殖(ふや)さずに濟(す)まし得(う)る次第(しだい)である...
井上準之助 「金解禁前後の經濟事情」
...是迄(これまで)とは違(ちが)つた經濟上(けいざいじやう)の状態(じやうたい)が出(で)て來(く)る...
井上準之助 「金解禁前後の經濟事情」
...是迄一千万円の資本を有つた人が五百万円を損したと云ふ場合に...
井上準之助 「最近欧米に於ける財政経済事情」
...實際(じつさい)に於(おい)ては世(よ)の中(なか)は少(すこ)しも是迄(これまで)と變(かは)らないでは無(な)いか...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六號室」
...又是迄御心配下すつた御禮を申すのも必要であるだらうから...
田中正造 「土地兼併の罪惡」
...けふの奮戰挌鬪を是迄に留め引き分けむ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...130されど是迄心中に怒を抱きたちはなれ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...支那人が是迄積み上げた事業と云ふ者を十分に研究して見なければならぬ...
内藤湖南 「支那古典學の研究法に就きて」
...七十四神尾主膳は、せっかく興味をもって読みつづいていた勝の親父の自叙伝を、さきにはビタが来て妨げ、今はお絹が来て中断されたが、さきのビタは問題にならず、お絹の話して行った言句が気になって、これからは、うつろに何枚かの丁を飛ばして行ったが、ふと、しまい際へ来て、女、という文字に釣り込まれて読みついでみると、「オレガ山口ニ居タ時分ダガ、或女ニホレテ困ッタコトガアッタガ、ソノ時ニ、オレガ女房ガソノ女ヲ貰ッテヤロウト云イオルカラ、頼ンダラバ、私ヘ暇ヲ呉レトイウカラ、ソレハナゼダト云ッタラ、女ノウチヘ私ガ参ッテ、是非トモ貰イマスカラ、先モ武士ダカラ、挨拶ガ悪イト、私ガ死ンデモライマスカラ、ト云ッタ、ソノ時ニ短刀ヲ女房ヘ渡シタガ、今晩参ッテキット連レテ来ルト云ウカラ、オレハ外ヘ遊ビニ行ッタラバ、南平ニ出先デ出会ッタ故(ゆえ)、何事無シニ咄(はな)シテ居タラバ、南平ガ云ウニハ、勝様ハ女難ノ相ガ厳シイ、心当リハ無イカト尋ネルカラ、右ノ次第ヲ咄シタラバ、ソレハヨクナスッタト云ウカラ、別レテ、又々、関川讃岐トイウ易者ト心易(こころやす)イカラ、通リガカリニ寄ッタラ、アナタハ大変ダ、上レトイウ故、上ヘ通ッタラバ、女難ノコトヲ云イオッテ、今晩ハ剣難ガ有ルガ、人ガ大勢痛ムダロウトテ、心当リハ無イカト尋ネルカラ、初メヨリノコトヲ話シタラバ肝ヲツブシテ、段々深切ニ意見ヲシテクレテ、女房ハ貞実ダト云ッテ、以来ハ情ヲ懸ケテヤレ、トイロイロ云ウカラ、考エテミタラバ、オレガ心得違イダカラ、夕方ウチヘ飛ンデ帰ッタラ、隠居ニ娘ヲ抱カセテ男谷(おたに)ヘヤッテ、女房ハ書置ヲシテウチヲ出ルトコロヘ帰ッテ、ソレカラ漸々(ようよう)止メテ、何事モ無カッタガ、是迄、度々、女房ニモ助ケラレシコトモアッタ、ソレカラハ不便(ふびん)ヲカケテヤッタガ、ソレマデハ一日デモ、オレニ叩カレヌトイウコトハ無カッタ、此ノ四五年、俄(にわ)カニ病身ニナッタモ、ソノセイカモ知レヌト思ウカラ、隠居様ノヨウニシテ置クワ」こういうおやじの兄弟も大抵ではないが、細君となるものがことさら思いやられる...
中里介山 「大菩薩峠」
...「正門が立派でなければ愛校心が湧くものではない」といつて是迄の木の門は打倒され...
中原中也 「校長」
...是迄(これまで)二人(ふたり)の間(あひだ)に何度(なんど)となく交換(かうくわん)されたにも拘(かゝ)はらず...
夏目漱石 「門」
...私とて是迄彼等の遣口(やりくち)には疑い乍らも十度に一度は真物に出喰わさない事も無かろうと微(わず)かな希望を抱き...
西尾正 「陳情書」
...私とても是迄場数を踏んで居りまして所謂殺伐には馴れて居りますから...
西尾正 「陳情書」
...是迄は何の事か色々と解釋をして見たが畢竟不得要領で判らなかつた...
松本文三郎 「世界に於ける印度」
...それは皆(みな)さんが是迄(これまで)讀(よ)んで來(き)た所(ところ)の...
レウィス、キァロル Lewis Carroll 丸山英觀訳 「愛ちやんの夢物語」
...今度の諍いは是迄より一層深刻であり性質も重大であった...
「海流」
...先は晩方、是迄に御坐候...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...是迄は無理をして育てて居たけれども...
柳田國男 「どら猫観察記」
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