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内藤鳴雪 「鳴雪句集」
...大川端雨後春夜の眺望方に一刻千金の趣あり...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...春夜の如し...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...半ひらきし窓よりは酣なる春夜の薫絶るまもなく漂ひ来れり...
永井壮吉 「偏奇館吟草」
...寥(けつりょう)たる春夜(しゅんや)の真中(まなか)に...
夏目漱石 「草枕」
...ああ この春夜のやうになまぬるくべにいろのあでやかな着物をきてさまよふひとよ妹のやうにやさしいひとよそれは墓場の月でもない 燐でもない 影でもない 眞理でもないさうしてただなんといふ悲しさだらう...
萩原朔太郎 「青猫」
...いのちは光をさして飛びかひ光の周圍にむらがり死ぬああこの賑はしく 艶めかしげなる春夜の動靜露つぽい空氣の中で花やかな弧燈は眠り 燈火はあたりの自然にながれてゐる...
萩原朔太郎 「青猫」
...春夜のただよふ靄の中でわたしはあなたの思ひをかぐあなたの思ひは愛にめざめてぱつちりとひらいた黒い瞳(ひとみ)は夢におどろきみしらぬ歡樂をあやしむやうだ...
萩原朔太郎 「青猫」
...そこを捉えて春夜の生ぬるく霞(かす)んだ空気を...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...寄生蟹のうた潮みづのつめたくながれて貝の齒はいたみに齲ばみ酢のやうに溶けてしまつたああ ここにはもはや友だちもない戀もない渚にぬれて亡靈のやうな草を見てゐるその草の根はけむりのなかに白くかすんで春夜のなまぬるい戀びとの吐息のやうです...
萩原朔太郎 「蝶を夢む」
...幼年思慕篇くさつた蛤なやましき春夜の感覚とその疾患内部に居る人が畸形な病人に見える理由わたしは窓かけのれいすのかげに立つて居ります...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...ああ この春夜のやうになまぬるくべにいろのあでやかな着物をきてさまよふひとよ妹のやうにやさしいひとよ...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...春夜の詩に歌管樓臺人寂寂...
原勝郎 「鞦韆考」
...春夜の暖熱に包まれているかのような...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...おおネルリ! それは何と云ふ懐かしい呼び馴れた親密さと慰安と温良とを持つて此の寂しい私に迫つて来ることか! 静かな静かな春夜! この郊外に新らしく構へた私の家の一室にどんなに私はこのネルリのことを考へ...
室生犀星 「愛の詩集」
...とうていその顔付から遁(に)げ出すことのできない宿命じみた蒼白い顔付――それが春夜にもなお電燈の下に座っている――...
室生犀星 「しゃりこうべ」
...茫々たる春夜を守りつづけてゐた...
室生犀星 「鉄の死」
...「劉君美春夜酔後過丸山花街...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
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