...況して吾人の悟性乃至理性に映ずる世界の姿が此種の現實を離れ...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...自己の心霊の貧弱を遺憾なく映ずる人間を喜んで歓迎してゐる...
エンマ・ゴルドマン 伊藤野枝訳 「少数と多数」
...行者の眼には一箇の忌まわしい腐肉や血膿のかたまりとして映ずるようにさえなるので...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...そして怖しい自然となつて威壓を加へるかのごとく映ずることがある...
近松秋江 「箱根の山々」
...一層大きな人物として映ずるふしもあったのである...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...アメリカ人の目にはよほど珍しく目新しい一大発見として映ずるかもしれないが...
寺田寅彦 「映画雑感(※[#ローマ数字7、1-13-27])」
...今わが眼(まみ)に映ずるは!忌まはしきかな...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...先ず吾々の眼に映ずるものは...
豊島与志雄 「偶像に就ての雑感」
...其処に映ずる凡ての物象は溌溂たる生気に覚醒(めざ)むる...
豊島与志雄 「蠱惑」
...そして彼の心に映ずる世間も次第に複雑になっていった...
豊島与志雄 「少年の死」
...月に映ずる雪煙か...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...彼の眼に映ずるものは悉(〔ことごと〕)く独乙(〔ドイツ〕)の敵であつた...
夏目漱石 「点頭録」
...しかし高柳君の眼に映ずる中野輝一(なかのきいち)は美しい...
夏目漱石 「野分」
...けれども善良な馬鹿としては決して誰の眼にも映ずる男ではなかった...
夏目漱石 「道草」
...するとあなたの眼に映ずる僕はまだ全くの嘘吐(うそつき)でもなかったんですね...
夏目漱石 「明暗」
...……ここに人々の眼に物と物との関係の幻想的形態を採って映ずるものは...
三木清 「マルクス主義と唯物論」
...現在の主観的意識に映ずる実像とを...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...人間の眼に映ずる蝶の生活は...
夢野久作 「能とは何か」
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