...帰へつてもいい? もう四五日暮したら帰へつてもいいでせうね...
伊藤野枝 「書簡 大杉栄宛」
...其の後は家に一人のこって居たけれ共夫となるべき人もないので五十余歳まで身代のあらいざらいつかってしまったのでしょうことなしに親の時からつかわれて居た下男を夫にしてその土地を出て田舎に引き込んでその日暮しに男が犬をつって居ると自分は髪の油なんかうって居たけれどもこんなに落ぶれたわけをきいて買う人がないので暮しかね朝の露さえのどを通す事が出来ないでもう今は死ぬ許りになってしまった...
井原西鶴 宮本百合子訳 「元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳)」
...一文無しのその日暮しだつたら...
太宰治 「お伽草紙」
...かくてまた二、三日暮したが、到頭十日目に至っては、何にも知らぬ妻と顔こそ合わさね同一の棟に暮していることの心苦しさに、いかんとも私は堪え難くなってきた...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...その日暮しで書いたつて何の役に立つ...
田山録弥 「雑事」
...それに一ヶ月余りといふものを寝て起きて食ふと言ふ全くその文字通りの日暮しのために...
中原中也 「その頃の生活」
...本所でその日暮しをなすつて居るさうで...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ずるずるとその日暮しで...
林芙美子 「なぐさめ」
...何時も彼を安易なその日暮しの上機嫌にさせた...
原民喜 「遍歴」
...辛うじてその日暮しが出来る位ひのもので...
牧野信一 「「悪」の同意語」
...彼の「妹が為め菅(スガ)の実(ミ)採りに行きし吾(アレ)山路に惑どひ此の日暮しつ」のスガの実もまた同じくガマズミの実であって...
牧野富太郎 「植物記」
...しかもぼんやりしたり混乱したりしているその内容のままで日暮しをしているかという...
宮本百合子 「異性の間の友情」
...まったく全体として女の日暮しの姿を落付いて...
宮本百合子 「現実の道」
...こまごました日暮しの匂いを漂わしています...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...世間の普通の人とはちがった日暮しをして来た作家は...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...その日暮しをつづける以上...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...世の中もあの人も私も忙しかった息せき切って駈けるような日暮しでユックリ逢っている暇はなかった...
三好十郎 「殺意(ストリップショウ)」
...粗暴な、生命(いのち)知らずな、その日暮しな、あらくれ部屋のゴロン棒も木の股(また)から生れた子ではない...
吉川英治 「宮本武蔵」
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