...月評を書いたのはまだその頃文名を馳せていたN氏である...
芥川龍之介 「文章」
...馬琴はそれ以後『八犬伝』の巻を重ねていよいよ文名を高くし...
内田魯庵 「八犬伝談余」
...越えて数月この「武蔵野」を巻軸として短篇数種を合冊した『夏木立(なつこだち)』が金港堂(きんこうどう)から出版されて美妙斎の文名が一時に忽ち高くなった...
内田魯庵 「美妙斎美妙」
...二葉亭に先んじて逸早(いちはや)く嵯峨(さが)の屋(や)お室(むろ)の文名を成した...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...心にもない文学上の談話が度々雑誌に載せられて文名が日に益々高くなるので実業界の友人からはいよいよ文人扱いされ...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...こんな具合でしたから芥川の手紙を特に保存してあつた事も芥川の文名に影響された譯では無く...
小穴隆一 「二つの繪」
...私が東京に於いて或るほんの一時期、これでも多少、まあ、わずかな人たちのあいだで、問題にされた事もあったと、まあ、言って言えない事もないと思いますが、しかし、その問題にされ方が、如何(いか)に私がダメな男であるか、おそらくは日本で何人と数えられるほどダメな男ではなかろうか、という事に就いて問題にされたのでありまして、その頃、私の代表作と言われていた詩集の題は、「われ、あまりに愚かしければ、詐欺師(さぎし)もかえって銭(ぜに)を与う」というのでありまして、之(これ)を以(もっ)てみても、私の文名たるや、それは尊敬の対象では無く、呆れられ笑われ、また極めて少数の情深い人たちからは、なぐさめられ、いたわられ、わずかに呼吸しているという性質のものであったという事がおわかりでございましょう...
太宰治 「男女同権」
...文名さえも一向に挙らず...
太宰治 「服装に就いて」
...又変名や文名で書く時に...
戸坂潤 「思想としての文学」
...文名隆々たる頃だった...
豊島与志雄 「十一谷義三郎を語る」
...されば成功して文名を博し得ても...
永井荷風 「来訪者」
...文名は容易に揚らず...
中島敦 「山月記」
...多少の文名があったのを...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...文名とを合せればたいしたものだと己惚(うぬぼれ)たのであろう...
長谷川時雨 「樋口一葉」
...作者二十四歳の時出た第一集「乱れ髪」は一躍著者の文名を高からしめ...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...文名身後に伝はり...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...公文名(くもんみょう)・久門名(くもんな)などという大字のあることを知っている人は...
柳田國男 「地名の研究」
...一流大家の中には単に文名によってその書がもてはやされたのみでなく...
山本笑月 「明治世相百話」
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