...さうして僕の日常生活の世界は僕の文章の世界に比べて、遙かに散漫な、弛んだ、調子の低い世界である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...その散漫なことは大きな豚小屋の中のやうであつた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...』私は給仕長のように散漫な好色を隠して言った...
谷譲次 「踊る地平線」
...君が曾て文士の生活について言つた散漫な議論も矢張さういふ調子と同じ調子ではなかつたか...
田山録弥 「初冬の記事」
...そんなことで殺人はさまたげられやしません」ブラウン神父はやや当惑しながら自分の散漫な考えを思い出そうとしているらしかつた……そして...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「手早い奴」
...今度はまた「日本人」という言葉の内容がかなり空疎な散漫なものに思われて来る...
寺田寅彦 「日本人の自然観」
...たとい将来においてキリスト教の勢力を進歩したりとてこれがために一国の一致を鞏固(きょうこ)ならしむることはあるももって散漫ならしむることはあるべからず...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...クリストフはもう散漫な耳でしか聴(き)いていなかった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...四以上は春信の作品に対する散漫なる余の感想を記(しる)したるに過ぎず...
永井荷風 「江戸芸術論」
...この墓地の区切りの散漫なところを以て見ると...
中里介山 「大菩薩峠」
...散漫な頭脳をそこへ統一して...
中里介山 「大菩薩峠」
...えてして散漫な現代の如き空気の中では一見よく響いたりするのだ...
中原中也 「文学に関係のない文学者」
...ざわざわした散漫な不安に悩まされていた...
夏目漱石 「明暗」
...彼らは六年の間世間に散漫な交渉を求めなかった代りに...
夏目漱石 「門」
...散漫な午後であったが...
原民喜 「翳」
...いたづらに狼狽(あわたゞ)しく散漫な日常生活は...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...甚だ散漫な自分の感想は...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...散漫なような手紙ですが...
宮本百合子 「獄中への手紙」
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