...さうして僕の日常生活の世界は僕の文章の世界に比べて、遙かに散漫な、弛んだ、調子の低い世界である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...至って散漫なる者であったが...
伊波普猷 「琉球史の趨勢」
...その散漫なことは大きな豚小屋の中のやうであつた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...富山は散漫な感じが第一に印象されて来る...
田山録弥 「町」
...そんなことで殺人はさまたげられやしません」ブラウン神父はやや当惑しながら自分の散漫な考えを思い出そうとしているらしかつた……そして...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「手早い奴」
...わたくしは甚散漫ながら以上の如く明治年間の上野公園について見聞する所を述べた...
永井荷風 「上野」
...この墓地の区切りの散漫なところを以て見ると...
中里介山 「大菩薩峠」
...散漫な頭脳をそこへ統一して...
中里介山 「大菩薩峠」
...えてして散漫な現代の如き空気の中では一見よく響いたりするのだ...
中原中也 「文学に関係のない文学者」
...また漠然として散漫な人類を...
夏目漱石 「道草」
...空疎な腹に散漫な刺戟(しげき)を盛って...
夏目漱石 「明暗」
...ざわざわした散漫な不安に悩まされていた...
夏目漱石 「明暗」
...彼らは六年の間世間に散漫な交渉を求めなかった代りに...
夏目漱石 「門」
...恰度彼が視てゐる海の色は秋晴れの空と和して散漫な眺めではあったが...
原民喜 「アトモス」
...散漫な午後であったが...
原民喜 「翳」
...その円錐花はまた散漫ならずして緊縮すると雖どもハチクの花の如くならず...
牧野富太郎 「植物記」
...甚だ散漫な自分の感想は...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...散漫なような手紙ですが...
宮本百合子 「獄中への手紙」
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