...さうして僕の日常生活の世界は僕の文章の世界に比べて、遙かに散漫な、弛んだ、調子の低い世界である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...その散漫なことは大きな豚小屋の中のやうであつた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...君が曾て文士の生活について言つた散漫な議論も矢張さういふ調子と同じ調子ではなかつたか...
田山録弥 「初冬の記事」
...今度はまた「日本人」という言葉の内容がかなり空疎な散漫なものに思われて来る...
寺田寅彦 「日本人の自然観」
...たとい将来においてキリスト教の勢力を進歩したりとてこれがために一国の一致を鞏固(きょうこ)ならしむることはあるももって散漫ならしむることはあるべからず...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...クリストフはもう散漫な耳でしか聴(き)いていなかった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...わたくしは甚散漫ながら以上の如く明治年間の上野公園について見聞する所を述べた...
永井荷風 「上野」
...四以上は春信の作品に対する散漫なる余の感想を記(しる)したるに過ぎず...
永井荷風 「江戸芸術論」
...散漫な頭脳をそこへ統一して...
中里介山 「大菩薩峠」
...えてして散漫な現代の如き空気の中では一見よく響いたりするのだ...
中原中也 「文学に関係のない文学者」
...また漠然として散漫な人類を...
夏目漱石 「道草」
...空疎な腹に散漫な刺戟(しげき)を盛って...
夏目漱石 「明暗」
...ざわざわした散漫な不安に悩まされていた...
夏目漱石 「明暗」
...彼らは六年の間世間に散漫な交渉を求めなかった代りに...
夏目漱石 「門」
...恰度彼が視てゐる海の色は秋晴れの空と和して散漫な眺めではあったが...
原民喜 「アトモス」
...散漫な午後であったが...
原民喜 「翳」
...その円錐花はまた散漫ならずして緊縮すると雖どもハチクの花の如くならず...
牧野富太郎 「植物記」
...甚だ散漫な自分の感想は...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
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