...校門を辭して散々に任地に就いてからの一年半の間に...
石川啄木 「鳥影」
...或時、小使室の前の井戸端で、六七人も集つて色々な事を言ひ合つてゐた時に、豊吉は不図其事を言ひ出して、散々に笑つた末、『新太と藤野さんと夫婦になつたら可(よ)がんべえな...
石川啄木 「二筋の血」
...暇に任せてネジったりヒッパったり散々に虐待するものだから...
大杉栄 「獄中消息」
...梟のために散々に啄(つゝ)かれた...
薄田泣菫 「茶話」
...自分の心の醜さと、肉体の貧しさと、それから、地主の家に生れて労せずして様々の権利を取得していることへの気おくれが、それらに就(つ)いての過度の顧慮が、この男の自我を、散々に殴打し、足蹶(あしげ)にした...
太宰治 「花燭」
...散々に責め嘖(さいな)んだ挙句...
橘外男 「棚田裁判長の怪死」
...散々に討ち破られて牡鹿城へ逃げ帰った...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...袖口(そでぐち)や裾(すそ)まわりの散々にいたんだのを...
永井荷風 「ひかげの花」
...町方役人から散々に油を絞られ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...散々に破れた大きな凧(たこ)が一つ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...引摺り込まれて散々に毆(なぐ)られたのは...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...散々に破損(けが)をさせしに...
樋口一葉 「たけくらべ」
...それは涙と血と泥によごれた女のこぶしで散々にうちたたかれ...
宮本百合子 「傷だらけの足」
...今ではどんな学童によっても散々に呪われそしられているのをみて心を動かされるならば...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...散々に叱られたので...
柳田國男 「日本の伝説」
...その白い曇りの魅力にかけて私を散々に弄(もてあそ)んでいるではないか……思い出されない事を思い出させ...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...世間に顔向けの出来ぬまで散々に踏み躪(にじ)って京...
夢野久作 「名娼満月」
...しかし、久我畷(なわて)から淀をこえ、伏見の里に来るまでに、ほとんど、散々に脱軍して、残るは腹心の者ばかりわずか十三騎とまでなってしまった...
吉川英治 「新書太閤記」
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