...あの庭下駄の跡は、二人の真犯人が犯行の際につけたものではなくて、あれは、犯行の後から、故意に、あの双生児(ふたご)を陥し入れるためにつけられた、恐ろしい詭計(トリック)なんですよ...
大阪圭吉 「石塀幽霊」
...何人かがこのあたりに見張つてゐて故意に門燈のスヰッチをひねつてゐるやうであつた...
田中貢太郎 「蟇の血」
...しかしよく見ると真の魚であるように故意にしたものであるように見えました...
チェスタートン 直木三十五訳 「金の十字架の呪い」
...その研究の結果によって得られた科学的の知識からなんらかの人間的な声を聞くことを故意に忌避することがあたかも科学者の純潔と尊厳を維持するゆえんであると考えるような理由のない慣習が行なわれて来た...
寺田寅彦 「科学と文学」
...無意識というよりも故意に...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...こういう人たちは故意に...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...――故意に維持しやうと思はないでも...
夏目漱石 「それから」
...故意に自分を無視している...
萩原朔太郎 「ウォーソン夫人の黒猫」
...真犯人自身がわざわざ故意に自身に不利な証拠を残しておいて最後にうまくずらかるという手だ...
浜尾四郎 「殺人迷路」
...死を待つために故意に幽閉されてあるという事実に対して...
葉山嘉樹 「牢獄の半日」
...私が故意に解散を遅らせたのは...
久生十蘭 「魔都」
...故意に人間を不幸にしてやろうとして...
平林初之輔 「秘密」
...息がある間に一言二言、故意に飛び込み、偶然じゃないと...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...ペイルソルプの意見では、あんな素晴らしい夢を見乍ら、直ぐ警察へ訴え出もせずに、長いこと独りで楽しんでいた許りか、訊かれても愚図ぐずして快く返事もしなかったのは、只に、当局の努力を助ける市民的に当然な誠意を欠くのみでなく、明白に、そして故意に、捜査の進展を妨害し、正義の邪魔をしたもので、公務執行妨害か犯人隠匿か或いは此の二つの併合罪に当るものだというのだ...
牧逸馬 「双面獣」
...河の中へ故意に突き落されたり...
吉川英治 「鬼」
...貴公は故意に兵糧の輸送を止めたか...
吉川英治 「三国志」
...故意に怠(なま)けてはそれを揶揄(やゆ)し...
吉川英治 「新書太閤記」
...彼へ先に与えて故意に...
吉川英治 「新書太閤記」
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