...戸を明け放つた縁側の外には...
芥川龍之介 「槍ヶ嶽紀行」
...そうして多くの場合に荷電されている宇宙微塵の作用で光を放つ...
スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 寺田寅彦訳 「宇宙の始まり」
...その住居から遠くの方へそれを放つて...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...そのまま蝙蝠式(こうもりしき)にぶら下って消音ピストルをうち放つ...
海野十三 「省線電車の射撃手」
...その赤くなったり黄色くなったりして山々を染めている景色は燈明(とうみょう)の消えんとする前に明るい光を放つのと同じように...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...實に原子核探究の發端に燦爛たる光を放つ功績である...
長岡半太郎 「原子核探求の思い出」
...中にもアインシユタインは當時不可思議に思われた光電作用を只一行の方程式で演繹するを得たのは 一層の光輝を hν に放つたというべきである...
長岡半太郎 「プランク先生の憶い出」
...放つて置きませうよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...放つても置けない重大な暗示を孕(はら)んで居たのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「放つて置けば、主人彦四郎、間違ひもなくやられたことでせうが、幸ひに居候の瀧山誠之進、こいつは腕が良いさうで、――それに怪しいことがあつて、内々要愼はして居たといふことですよ」「怪しいことゝ言ふと」「旅の女を助けて、部屋へ入れたとき、何氣なく觸つたら、女は懷ろに短刀を持つてゐたので、こいつは油斷がならないと思つた相ですよ」「フン、よく氣が付いたな」「騷ぎを聞くとすぐ飛出し、曲者の背後(うしろ)から、物も言はずにたゞ一と太刀に斬つて捨てた」「フーム」「曲者は死んでしまつたが、女はそれつ切り姿を見せない、逃げてしまつたんですね、斬られた曲者は四十過ぎの、逞(たく)ましい男だつた相で」「主人はどうした、怪我は?」「幸ひ助かりましたよ、傷は淺かつた相で、左の小手は少しひどかつたが、肩は寢卷の上からでほんのかすり傷で、いづれにしても十日經つたら、元通りになるでせう、ところで」「まだ話があるのか」「これからが面白いんで」「何が面白いんだ」「主人の大澤彦四郎は、すつかり喜んで、三月前に轉げ込んだ居候の瀧山誠之進に、腕と心掛が無かつたら、自分は間違ひもなくやられるところであつた、このお蔭には、身代を半分やるか、娘お清の聟になつてくれるか、と牡丹餅で頬(ほつ)ぺたの申出でだ」「あり相もないことだな」「ところが、面白いのは」「まだ面白い話があるのか」「瀧山誠之進は、それをピタリと斷つた、そんな事で、莫(ばく)大な身上をわけて貰ふのも心苦しいし、お孃さんの氣もわからないのに、聟などは以ての外とね」「立派だな」「身上はいくらあるか知らないが、娘を斷るのは氣が知れませんよ、大澤家の娘お清といふのは、十八になつたばかり、ポチヤ/\した、滅法可愛らしい娘(こ)で」「そんな事を考へるのは、お前ばかりだらう」「あつしはまだ手輕な方で、――あの娘は赤坂から麻布へかけての評判ですぜ、あの娘が貰へるなら、あつしだつて、身上は此方から熨斗(のし)をつける」「貧乏人は皆んな、そんなことを言ふよ、お前には熨斗をつける身上がいくらあるんだ」「さう言はれると面目次第も無いが」八五郎の話はざつと斯んなものでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...どうやら異彩を放つてゐるのは...
林芙美子 「ボルネオ ダイヤ」
...スラリと抜き放つと...
ジョナサン・スイフト Jonathan Swift 原民喜訳 「ガリバー旅行記」
...車を病院の玄関先に放つたまま...
原民喜 「廃墟から」
...放つとけねえんだから...
三好十郎 「疵だらけのお秋(四幕)」
...源氏の美の放つ光が身の中へしみ通るように思っている女房もあった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...遂(つひ)に火を放つて切腹した...
森鴎外 「栗山大膳」
...さつぱり云ひ放つたことばはない...
吉川英治 「折々の記」
...彼らを再び野(や)へ放つことここの山村は華陰県(かいんけん)の県ざかいで史家村(しかそん)とよばれている...
吉川英治 「新・水滸伝」
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