...當面の問題に對して的確な、明細な批判を下す能力のないものこそ、他人の人格を丸呑みにしたやうな、大攫みな、見識ぶつた批評をしたがるものだ、と彼は思つた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...ザク/\とポケツトから攫み出してみたい爲めではなかつた...
石川啄木 「病室より」
...「五吊八(ウーテウパ)だ!」彼はテーブルの引き出しから有りったけの銅元を攫み出し...
魯迅 井上紅梅訳 「幸福な家庭」
...今のあの銅貨一攫みは一体どういうわけなんだえ? 彼を奨励するつもりか? わたしはこれでも車夫を裁判することが出来るのか? わたしは自分で答うることが出来ない...
魯迅 井上紅梅訳 「些細な事件」
...彼女は一攫みの勘定書(かんじょうがき)を彼の鼻先に突きつけた...
魯迅 井上紅梅訳 「端午節」
...たちまち彼の口の中へ一攫みの塩を押込んだようにおおよそ彼の顔じゅうで皺の出来るところは皆皺が出来た...
魯迅 井上紅梅訳 「端午節」
...卓上から嘗試集(しょうししゅう)を攫み出し...
魯迅 井上紅梅訳 「端午節」
...攫みかからんと走り来ぬ...
巌谷小波 「こがね丸」
...手にて繩を攫みて舟を進むるやうな仕掛にせり...
大町桂月 「足柄の山水」
...可憐のものを其爪に攫み舞ひおり...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...二人の男は有無なくそれを攫みとるやいなや...
牧野信一 「鬼の門」
...「お前えの首ツ玉は細くつて攫みいゝんだ...
牧野信一 「坂道の孤独参昧」
...それにしても西岡の鷲攫みの力が堅くて...
牧野信一 「坂道の孤独参昧」
...次々に攫み出される皮ズボンを...
牧野信一 「山男と男装の美女」
...短遮等より投げたる球を攫み得て第一基を踏(ふ)むこと(もしくは身体(からだ)の一部を触(ふ)るること)走者より早くば走者は除外となるなり...
正岡子規 「ベースボール」
...場左(レフトフィルダー)のごとき皆打者の打ちたる飛球(フライボール)を攫み(この時打者は除外となる)またはその球を遮り止めて第一基等に向いこれを投ぐるを役目とす...
正岡子規 「ベースボール」
...己はその萎びた体に攫み附いて遣りたいのだぞ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...ルパンは素早く帽子を鷲攫みにしてプイと室外へ抜けた...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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