...内界の動亂に具象の姿を與へる爲に外物に攫みかゝることはあつても...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...私の見る處では所謂表現派の代表者フアン・ゴーホの如きも實によく自然の心を攫み...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...ザク/\とポケツトから攫み出してみたい爲めではなかつた...
石川啄木 「病室より」
...今のあの銅貨一攫みは一体どういうわけなんだえ? 彼を奨励するつもりか? わたしはこれでも車夫を裁判することが出来るのか? わたしは自分で答うることが出来ない...
魯迅 井上紅梅訳 「些細な事件」
...彼女は一攫みの勘定書(かんじょうがき)を彼の鼻先に突きつけた...
魯迅 井上紅梅訳 「端午節」
...たちまち彼の口の中へ一攫みの塩を押込んだようにおおよそ彼の顔じゅうで皺の出来るところは皆皺が出来た...
魯迅 井上紅梅訳 「端午節」
...卓上から嘗試集(しょうししゅう)を攫み出し...
魯迅 井上紅梅訳 「端午節」
...實質を攫み得ないものは空理に安んじてゐるのです...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...攫みかからんと走り来ぬ...
巌谷小波 「こがね丸」
...手にて繩を攫みて舟を進むるやうな仕掛にせり...
大町桂月 「足柄の山水」
...可憐のものを其爪に攫み舞ひおり...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...わが手の攫み取りしもの天より遠く地の上に*投げ落されて氣は絶えぬ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...われとはなしに手に攫み投げし汚物の數々に...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...二人の男は有無なくそれを攫みとるやいなや...
牧野信一 「鬼の門」
...それにしても西岡の鷲攫みの力が堅くて...
牧野信一 「坂道の孤独参昧」
...場左(レフトフィルダー)のごとき皆打者の打ちたる飛球(フライボール)を攫み(この時打者は除外となる)またはその球を遮り止めて第一基等に向いこれを投ぐるを役目とす...
正岡子規 「ベースボール」
...己はその萎びた体に攫み附いて遣りたいのだぞ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...ルパンは素早く帽子を鷲攫みにしてプイと室外へ抜けた...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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