...特に馬車を辞して蜿々(ゑん/\)たる小径を攀(よ)じ登つた時...
石川三四郎 「馬鈴薯からトマト迄」
...ぜひなくはうがごとく坂を攀(よ)じ登りはじめたるが...
井上円了 「おばけの正体」
...松の幹に攀らんとして...
巌谷小波 「こがね丸」
...牛飼君が内閣を組織した暁は伊勢武熊も一足飛に青雲に攀ぢて駟馬(しば)に鞭(むちう)つ事が出来る身ぢや...
内田魯庵 「貧書生」
...一郎がようやく石垣を攀(よ)じのぼって...
海野十三 「恐怖の口笛」
...この火あらば、萬一、瀧壺へ落ちてもよしとて、身輕にして、攀ぢ上り、漸く全體を見ることを得たり...
大町桂月 「足柄の山水」
...曾て房州に放浪して、菱花灣畔に、さゝやかなる家を借り、あびきする濱邊に出でて、溌剌たる鮮魚買ひ來りては、自から割き、自から煮て、いと心安き生活を送り、時には伴れだちて、城山の古城址に興亡の跡を訪ひ、延命寺の古墳に里見氏の昔を弔ひ、富山を攀ぢ、清澄山に上り、誕生寺を訪ひ、洲崎辨天にまうで、行き暮れて白須賀灣頭の月に臥し、夜ふけて鋸山上の古寺に白雲と伴ひて眠るなど、形體を波光山影の間に忘れて、虚心江上の白鴎に伴ひし當年の遊蹤、猶ほ昨日の如きに、同じく遊びしもの、今四散す...
大町桂月 「房州紀行」
...敵方の妨害をしながら隙を見て竹竿に攀じ登り...
田中貢太郎 「鷲」
...血気の頃には猿(ましら)の如くする/\と攀昇(よじのぼ)り候その樹(き)の幹には変りはなけれども...
永井荷風 「榎物語」
...峰の上は攀ぢても見ず...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...二階の映画場で「木に攀る女」といふ映画を見る...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
......
牧野信一 「酒盗人」
...馬鈴薯なるものは一つの蔓草で樹木に攀じのぼり...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...銀杏を撫で石壇を攀ぢ御前に一禮したる後瑞垣に憑(よ)りて見下ろせば數百株の古梅ややさかりを過ぎて散りがてなるも哀れなり...
正岡子規 「鎌倉一見の記」
...岩波文庫のウィムパーの「アルプス登攀記」は印象にのこっている記録の一つである...
宮本百合子 「科学の常識のため」
...この岸さえ攀(よ)じのぼってゆけば...
室生犀星 「寂しき魚」
...不断の泉の迸(ほとばし)り出るこの岩に攀(よ)じ登るなんぞが...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...攀じ登ろうとした兵も...
吉川英治 「三国志」
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