...私に付そうて行く指揮官警部の頭を後方からステッキで擲つたものがあり――それは年少な荒畑寒村であつたと思ふ――警部の制帽は地上にとんで落ちました...
石川三四郎 「浪」
...横さまに拳で擲つてゐた...
石川啄木 「刑余の叔父」
...屹度其企てを擲つて驅落をする事にする...
石川啄木 「散文詩」
...幾度も幾度も杖で此不恰好な頭を擲つたものだ...
石川啄木 「葬列」
...信吾は無暗矢鱈に昌作を擲つた...
石川啄木 「鳥影」
...同様に之を勅選に奏請した臣下は一切の栄職を擲つべきだろう...
戸坂潤 「社会時評」
...一切の栄職を擲つ理由もないと主張している...
戸坂潤 「社会時評」
...俳句は全く擲つ事になった...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...擲つたびに球は落ちてくる...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...直接性を擲つことによつて...
波多野精一 「時と永遠」
...――そして彼は慈悲深い目的を擲つことの出來ぬやうな行爲を私に形見として遺して行つたのであります...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「或女友達への手紙」
...稍ともすれば狂ひのやうになつて擲つたり蹴つたりするであらう...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...いつの間にか擲つた奴が当の生きた私で...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...笑ひながらビール壜でその弾丸をうけとめると一処に敵手の頭を張り擲つて悶絶させてやつたが...
牧野信一 「捜語」
...拳固をかためて吾と吾が頭を擲つたりした...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...力任せに其奴の頬つぺたをグワンと擲つた...
牧野信一 「山男と男装の美女」
...柄(つか)も折れよとばかりに必死の思ひでゼーロンの尻を擲つた...
牧野信一 「夜見の巻」
...何ゆゑに作者はあの秀作の筆を半途にして擲つてしまつたか...
正岡容 「浅草燈籠」
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