...稚ない時から好きであつた伯母さんと昔談(むかしばなし)をする樂みをさへ擲ち去つて...
石川啄木 「葬列」
...鬼が雲の上で太鼓を擲いて居ると聞かされれば...
丘浅次郎 「疑ひの教育」
...自分の心を癒そうとするもののみが知る愛と抛擲とがあった...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...勉強を放擲(ほうてき)しようとする気持もわかるけれど...
太宰治 「乞食学生」
...一人のTBに渡すハーフの一擲は十四のラガーに呼懸ける「見えざる関係の構成」でなくてはならない...
中井正一 「スポーツの美的要素」
...その温泉とはどこですか」兵馬が最初の当途(あてど)もない甲武信の山入りを放擲(ほうてき)したのと...
中里介山 「大菩薩峠」
...正当の職業である薬草取りの一日の業を抛擲(ほうてき)してしまって...
中里介山 「大菩薩峠」
...おとつゝあに打(ぶ)ん擲(なぐ)られつから...
長塚節 「土」
...私(わたくし)何もいう訳はありませんわ」「金なんかあるもんか」健三は擲(たた)き付けるようにこういって...
夏目漱石 「道草」
...思ふさまに擲かれて蹴られて其二三日は立居も苦しく...
樋口一葉 「たけくらべ」
......
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...その長い間放擲(ほうてき)していた私の仕事を再び取り上げるために...
堀辰雄 「美しい村」
...そして今度は奴が私の頭を石のやうな拳でぐわんと擲つたかと思ふと同時に...
牧野信一 「心象風景(続篇)」
...拳固をかためて吾と吾が頭を擲つたりした...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...「お前えは居たのか?」「何云つてゐるんだい、馬鹿野郎!」と、私はあらん限りの声で叫び、彼の胸を擲つた...
牧野信一 「毒気」
...此方側がそれに関しては余りに恬淡に放擲したので首尾好く占領し終せたものか――...
牧野信一 「南風譜」
...力試しにこれを提(さ)げて谷へ擲(な)げ下ろすと二つに裂けた...
南方熊楠 「十二支考」
...我見を放擲して「従う」ところに両者の一致があり...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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