...一台の空円タクが擦れ違いそうになったが...
海野十三 「深夜の市長」
...革の裏表がきゆつ/\と擦れて鳴る音にじつと耳を引立(ひつた)ててゐる...
薄田泣菫 「茶話」
...どんなに注意深くしても周囲の表紙の表面に擦過した痕(あと)を残すことになる...
谷崎潤一郎 「鍵」
...慌(あわ)てゝ顔を子供の顔にぴったりと擦りつけたので...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...元来きわめて不明瞭(ふめいりょう)な「摩擦」そのものの本性に関する諸問題に意外な曙光(しょこう)をもたらすようなことにならないとも限らない...
寺田寅彦 「日常身辺の物理的諸問題」
...着物の袖口が擦り切れてなんかいない...
豊島与志雄 「怒りの虫」
...生活に擦(す)り減らされるのです……...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...然(しか)し何遍擦(こす)っても...
夏目漱石 「それから」
...何だこんな自働車がと云わぬばかりにその傍(そば)を擦(す)り抜けて表へ出た...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...眠い眼を擦(こす)りながら縁側(えんがわ)へ出た...
夏目漱石 「道草」
...逃がすな」平次は眼の灰を一生懸命擦っております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...人間と人間とが滅茶苦茶に摩擦し合ふ映画のなかの俳優か何かのやうにおもへた...
原民喜 「氷花」
...待って下さい」爺さんはそう言うと擦り切れた革の汚い紙入れを取り出した...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...私の指をやさしく擦(こす)りながら云ひつゞけた――「もし世界中の人が...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...右の手くびの一部分もだいぶ擦りむけていて...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「マリー・ロジェエの怪事件」
...夫からコワ張つて居る手足を擦り/\少しづつ延ばして行く...
松本文三郎 「印度の聖人」
...極めて小さき擦り傷にも敏感なるに...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...手袋をはめた両手で強く摩擦し初めた...
夢野久作 「戦場」
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