...他人の意を損ずるのが嫌ひであつた性質だし殊に母堂思ひなので相當苦痛であつたに違無からう...
生田葵山 「永井荷風といふ男」
...貞之助の機嫌を再び損ずるようになることも...
谷崎潤一郎 「細雪」
...佐助はこの事が春琴に知れたら定めし機嫌を損ずるであろうただ与えられた手曳きの役をしていればよいのに丁稚の分際(ぶんざい)で生意気な真似(まね)をすると憫殺(びんさつ)されるか嘲笑(ちょうしょう)されるか...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...伝は続けて曰く「けだし負傷は軽微(けいび)にして天稟(てんぴん)の美貌をほとんど損ずることなかりき...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...その皮を剥(む)き損ずるか...
中里介山 「大菩薩峠」
...大藩の御機嫌を損ずることはなおさら……こう政府が八方四方尊敬ばかりしていた日には...
中里介山 「大菩薩峠」
...ために芸術品として見たる私の講演は大いに価値を損ずるごとく...
夏目漱石 「文芸と道徳」
...我を益するにあらずして他人を損ずるにあり...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...世上一般の幸福をば損ずるのみにて少しも益するところあるべからず...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...これまたその功名の価(あたい)を損ずるところのものにして...
福沢諭吉 「瘠我慢の説」
...それがために歌の趣を損ずる者に候...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...佶屈(きっくつ)に過ぎて趣味を損ずる者多し...
正岡子規 「俳諧大要」
...些細(ささい)の色のために味を損ずるは愚の極といふべし...
正岡子規 「病牀六尺」
...西アフリカのエンギアンバてふ処に猴夥しく畑を甚だしく損ずる上...
南方熊楠 「十二支考」
...事宜(じぎ)に随って他を損ずるも害と名づけず...
南方熊楠 「十二支考」
...あろう事か妖巫といわゆるお姿夫婦(『傾城難波土産』四の二)の語らいから帝室の威厳を損ずる大騒ぎを起したは何たる事ぞ...
南方熊楠 「十二支考」
...鼠が牧畜に必要な草や人間大事の穀物を損ずるは夥しいものあり...
南方熊楠 「十二支考」
...――いたずらに兵を損ずるのみだわ」「ええ...
吉川英治 「三国志」
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