...船の上下は最後のどよめきに揺らぐように見えた...
有島武郎 「或る女」
...こうなると街路の柳の夕風に揺らぐのが...
寺田寅彦 「夏」
...死の存在に揺らぐ心を抑えながら...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...風のなかに揺らぐ破片...
原民喜 「鎮魂歌」
...あの写真は掘立小屋の揺らぐテントの蔭の木のベツドで注射の円い肩が波打つてゐた...
原民喜 「火の子供」
...体が火照つて頭の上に揺らぐ温かいものが絶えず僕の上にあつた...
原民喜 「火の子供」
...ふと僕は花の蕾の上に揺らぐ透明なのが刻々に何かもの狂おしく堪えがたくなってゆくような気分に襲われた...
原民喜 「夢と人生」
...不安げに揺らぐものを持ったまま僕は...
原民喜 「夢と人生」
...僕にとって揺らぐ不安げなものは既にセピア色の澱みのなかに支えられ...
原民喜 「夢と人生」
...その声で小屋も揺らぐかと思うばかり...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...その声々にさながら日比谷の森も揺らぐかと思うばかり...
久生十蘭 「魔都」
...私もまた切なくそれを揺らぐがままにさせていた...
堀辰雄 「ほととぎす」
...しょうことなく揺らぐがままにさせていた...
堀辰雄 「ほととぎす」
...揺らぐ帆柱の向うには不意にみどりと青の火焔が見えた...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「髪あかきダフウト」
...風の無い日に木葉(このは)が揺らぐように動く外には...
森鴎外 「鶏」
...二ヵ所の篝火と揺らぐ夕闇と...
吉川英治 「上杉謙信」
...ここの一穂(すい)の燈火(ともしび)のほか揺らぐ人影もなかった...
吉川英治 「三国志」
...やがて扉の外に立てる私の胸の高波となつて揺らぐ...
吉田絃二郎 「沈黙の扉」
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