...こんな事を暫くしんみりと話した揚句には十風の態度に激變を來たすのが常である...
高濱虚子 「俳諧師」
...唄合戦の揚句に激昂した恋敵(こいがたき)の相手に刺された青年パーロの瀕死の臥床で「生命の息を吹込む」巫女(みこ)の挙動も実に珍しい見物である...
寺田寅彦 「映画雑感6[#「6」はローマ数字、1-13-26]」
...そして其の揚句に...
徳田秋聲 「彷徨へる」
...禅機に充ち充ちた弁証法的過程の揚句に...
戸坂潤 「社会時評」
...仕度三昧(したいざんまい)の贅沢の揚句に案出した極端な凡ての娯楽的芸術を最も能く総括的に代表したものである...
永井荷風 「虫干」
...さんざんからかわれた揚句に...
中里介山 「大菩薩峠」
...数を多くかぶっていさえすれば、ことさらにスマートを気取らなくても、一見して整った形になり、整った揚句に、ちょっと人を魅する姿勢が出来てくる...
中里介山 「大菩薩峠」
...色々相談の揚句に成ったものだから...
夏目漱石 「それから」
...掴み合つたくらゐだからその揚句に殺さないとは限らないぢやないか――尤も小娘が易々(やす/\)と大男を殺せるわけはねえから...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...(後記エノケン近頃泣き上戸の由)エノケンは、酔った揚句に、僕は映画専門にやる、もうじきに舞台はやめる、と言って泣き出した...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...「その揚句にいま俺に突き飛ばされて池へ落っこちて...
正岡容 「小説 圓朝」
...その揚句にこんなことになつたのだといふ噂が一番眞實(まこと)しやかに傳へられた...
正宗白鳥 「避病院」
...ヒイヒイあやまらせた揚句に...
夢野久作 「少女地獄」
...あの通りの議論をした揚句に...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...熱海(あたみ)街道をひきあげて来る途中――かの相良金吾(さがらきんご)と物別れになり、その揚句に、根府川(ねぶかわ)番所の役人に陸(おか)と船手から囲まれて、一味ちりぢりバラバラ、ようやくのこと、小舟で逃げのびた二人は、その後(ご)、江の島あたりに潜伏して、しばらくほとぼりを冷ましていたものと見えます...
吉川英治 「江戸三国志」
...その揚句にいい泊り場所を見つけたと...
吉川英治 「江戸三国志」
...じっとそれに耐えていた揚句になお――生ぬるい今の言葉であったからだ...
吉川英治 「大岡越前」
...命がけで安治川の渡船場から、お前様を引ッさらってきたり、長持の底へ入れて綱倉(つなぐら)の番人をしたり、ずいぶんロクでもねえことはやりましたが、その揚句に、思いを遂げて、うまい花の汁を吸ったのは、すなわち、手前のご主人様――怨むなら、その森啓之助様をお怨みなさいまし」「知らないよ……」「そう、早くお歩きなさいますと、またすぐに息が喘(き)れますぜ」「――お前も怨むし、啓之助様も私は怨む……...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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