...二人は互に情に堪えかねてまた殴ったり引掻(ひっか)いたりした...
有島武郎 「カインの末裔」
...白き頸(うなじ)を掻掴(かいつか)み...
泉鏡花 「海城発電」
...私は何時までも何時までもぼんやり其処に眼をすえて遠くの方から聞えて来る其の松葉掻きの音に聞き入ってゐました...
伊藤野枝 「白痴の母」
...その中ほどまで掻いて来るという単純ではあるが子供の身にはやや骨の折れる仕事にとりかかった...
犬田卯 「米」
...このようにぐしゃぐしゃに掻き乱して...
海野十三 「不思議なる空間断層」
...その黒いごみを掻き集めておき...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「鳩つかひ」
...鼾を掻いていない時は眠りの浅い時...
谷崎潤一郎 「鍵」
...仰山の人に心配かけた上自分も恥掻(か)いて圧制的に止めさされるか...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...今は長く伸されて後ろに掻き上げられていた...
豊島与志雄 「反抗」
...頭から掻巻(かいまき)を被(かぶ)ったお銀様が...
中里介山 「大菩薩峠」
...甘藷(さつまいも)は土(つち)を掻(か)つ掃(ぱ)いて探(さが)し掘(ぼ)りにするのは心(こゝろ)が忙(せは)し過(す)ぎるのでぐつと引(ひ)き拔(ぬ)く...
長塚節 「土」
...お吉に引つ掻かれたのだ」「成る程ね」「一度お小夜にやつた金を...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...剃刀で大の男の頸動脈を掻き切つて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...若(も)し真弓が刃の下を掻(か)い潜って...
野村胡堂 「百唇の譜」
...それは前よりも一層私の田舎暮らしの惨(みじ)めさを掻(か)き立てるような結果にさえなった...
堀辰雄 「三つの挿話」
...喉へ魚の骨を引かけた時には騒ぐほど段々深く刺さって行きますから手早く箸(はし)の先へ真綿か脱脂綿かを沢山巻き付けてそれで喉の中をグルグルと掻(か)き廻(まわ)すのです...
村井弦斎 「食道楽」
...つい慾の涙を掻きこぼしたわけでござりまする」家臣たちは...
吉川英治 「新書太閤記」
...此處(ここ)はどこなのかしら――彼女(かのぢよ)は起(お)き上(あが)らうと意識(いしき)の中(なか)では藻掻(もが)いたが...
若杉鳥子 「彼女こゝに眠る」
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