...片手で顔を掩うたまま獣眼蒐(めが)けて続けざまに引金を引いた...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...私は顔を掩うて号泣しました...
橘外男 「仁王門」
...決して掩うべからざるなり...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...性欲を掩う美しいベールとして恋愛感情を人間に与えたのであろう...
直木三十五 「大衆文芸作法」
...日本にあっては霖雨の時節閉切った電車の中屡(しばしば)鼻を掩う事あり...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...大きな白帆は遠い野を掩うて姿見へ大きく映る...
長塚節 「おふさ」
...有繋に雷鳴を恐れたと見えて両手は耳を掩うて居た...
長塚節 「太十と其犬」
...一枚のどてらは三人を掩うた...
長塚節 「利根川の一夜」
...其柿の木は路傍に立つて枝は粗朶小屋の上を掩うて竹の林に接して居た...
長塚節 「菠薐草」
...女は私に近よつた時急に両手の袖を重ねて胸を掩うた...
長塚節 「隣室の客」
...其の時女は屹度袖で胸を掩うて居る...
長塚節 「隣室の客」
...(それ故一種の「華麗なる寂しさ」が彼の作品を掩うてゐたのだ)...
堀辰雄 「芥川龍之介論」
...薄い捲毛になって両耳を掩うている...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「悩みのひととき」
...うちふられる旗が天空を掩うのを……)――彼等の妻や子供もまた彼等のうしろにあって叫ぶ――あらゆる工場...
百田宗治 「五月祭の朝」
...全世界を掩う大洪水のために他のすべての被造物とともに滅びた...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...その尻と背とを掩うことを知らず...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...揺れあい押しあいつつ眩しいほど雪白の泡となって汀を掩う……これらはすべて或る諧調(かいちょう)をもっていた...
山本周五郎 「新潮記」
...到る處杉檜が空を掩うて茂つてゐる...
若山牧水 「比叡山」
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