...もう鼻を掩う事を忘れていた...
芥川龍之介 「羅生門」
...僕は幾度か巻を掩うて感涙にむせんだ...
大杉栄 「獄中消息」
...タオルのような純白の柔らかい布で我らの身体を掩うてくれ...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...雪の黄昏を眺めた私の心のやるせない淋しさ――それは世界を掩うて近寄り来る死の蔭の冷(ひい)やりとした歩(あゆ)みをわれ知らず感じたのでした...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...決して掩うべからざるなり...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...夜九時隣室のラヂオに驚かされ耳を掩うて門外に出づ...
永井荷風 「荷風戰後日歴 第一」
...隣室のラヂオに耳を掩うて戰敗の第二年目を送ると爾云...
永井荷風 「荷風戰後日歴 第一」
...百姓の後姿を村の中へ押し込んでやがて夜の手は田甫から畑からさうして天地の間を掩うた...
長塚節 「芋掘り」
...尺が少し足りませんので袖が短かうございます」といつて赤い襦袢で一寸顏を掩うた...
長塚節 「開業醫」
...百姓の後姿を村の中へ押し込んでやがて夜の手は田圃から畑からさうして天地の間を掩うた...
長塚節 「寫生斷片」
...荷物の風呂敷で顏を掩うた...
長塚節 「旅の日記」
...其柿の木は路傍に立つて枝は粗朶小屋の上を掩うて竹の林に接して居た...
長塚節 「菠薐草」
...中央の山陵は杉の木が一杯に掩うて蔚然と小山のやうである...
長塚節 「松蟲草」
...ババンの眼にみるみる涙があふれ、顔を掩うと、うれし泣きに泣き出した...
火野葦平 「花と龍」
...わたくしは詩巻を掩うて勤向覚書を繙(ひもと)く...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...より多くこの身を掩うべき理由を持っていることに気がつく...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...先づ小さな門を掩うてゐる深々しい篁(たかむら)が眼についた...
若山牧水 「樹木とその葉」
...顏を掩うて笑ひ出した...
若山牧水 「比叡山」
便利!手書き漢字入力検索