...タオルのような純白の柔らかい布で我らの身体を掩うてくれ...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...私は顔を掩うて号泣しました...
橘外男 「仁王門」
...」老婆は骨ばった手で目を掩うた...
戸田豊子 「鋳物工場」
...性欲を掩う美しいベールとして恋愛感情を人間に与えたのであろう...
直木三十五 「大衆文芸作法」
...百姓の後姿を村の中へ押し込んでやがて夜の手は田甫から畑からさうして天地の間を掩うた...
長塚節 「芋掘り」
...中形の浴衣の上には白い胸掛を掩うて居る...
長塚節 「おふさ」
...大きな白帆は遠い野を掩うて姿見へ大きく映る...
長塚節 「おふさ」
...尺が少し足りませんので袖が短かうございます」といつて赤い襦袢で一寸顏を掩うた...
長塚節 「開業醫」
...椋鳥はしら/\明に西から疾風の響をなして空を掩うて渡る...
長塚節 「寫生斷片」
...雲は太く且つ広く空を掩うて一直線に進んで来る...
長塚節 「太十と其犬」
...左はすぐに溪で既に散りはじめた櫻の薄紅葉が溪にんで其狹い道を掩うて連つて居る...
長塚節 「松蟲草」
...其の時女は屹度袖で胸を掩うて居る...
長塚節 「隣室の客」
...それから、今日のこと――あたしの素姓や、金五郎さんとのこと、ちょっとでも、人にしゃべったら、やっぱり、命がないものと、お思い」染奴は、袂で顔を掩うと、はげしく泣きだした...
火野葦平 「花と龍」
...従者は耳を掩うて突っ伏し...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...うちふられる旗が天空を掩うのを……)――彼等の妻や子供もまた彼等のうしろにあって叫ぶ――あらゆる工場...
百田宗治 「五月祭の朝」
...揺れあい押しあいつつ眩しいほど雪白の泡となって汀を掩う……これらはすべて或る諧調(かいちょう)をもっていた...
山本周五郎 「新潮記」
...手巾(ハンケチ)で顔を掩うて私達の早足に去る事を促した...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...見る限り一面の淺瀬が岩を掩うて流れてゐるのはすが/\しい眺めであつた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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