...覚(おぼ)えず眼を掩(おお)いて...
W・S・モーゼス William Stainton Moses 浅野和三郎訳 「霊訓」
...神の禍(わざはひ)を轉じて福(さいはひ)となし給へる迹(あと)は掩(おほ)ふ可からざるものあればなり...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...それから先は両側の松林が幹を差替(さしか)わす許(ばかり)に遠くつづいて石畳の路を掩(おお)うている...
伊藤左千夫 「八幡の森」
...髪は乱れて黄金(こがね)色に額と頬とを掩つてゐる...
グスタアフ・ヰイド Gustav Wied 森林太郎訳 「薔薇」
...そしてその屍(しかばね)で掩(おお)われている谷の上を風はひゅうひゅうと吹いて通っています...
太宰治 「正義と微笑」
...百姓の後姿を村の中へ押し込んでやがて夜の手は田甫から畑からさうして天地の間を掩うた...
長塚節 「芋掘り」
...又(また)痘痕(あばた)の爺(ぢい)さんを熟々(つく/″\)と見(み)ては思(おも)ひ出(だ)して袂(たもと)で口(くち)を掩(おほ)うた...
長塚節 「土」
...衣物で胸を掩ひながら私の座敷の前を通つて二階をおりて行つた...
長塚節 「隣室の客」
...部屋を掩(おゝ)ふ強い香(か)の中(なか)に...
夏目漱石 「それから」
...詩人は言葉とこゝろと大小相掩はざる諸譬喩を出すことを好むものなり...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...矛盾の迹(あと)つひに掩(おほ)ふべからざるに至らむ...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...何か秘密を掩(おお)い蔽(かく)すような工合(ぐあい)に小屋に迫っている...
ハンス・ランド Hans Land 森鴎外訳 「冬の王」
...彼らはその左手をマントもて掩い...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...袂(たもと)で顔を掩(おお)って泣いていた...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...見る者の眼を掩(おお)わしめた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...藤棚で掩(おお)われた小座敷がある...
吉川英治 「宮本武蔵」
...昼も暗く空を掩っている...
若杉鳥子 「ある遊郭での出来事」
...岡のうへの木立一帶に黝(くろ)み靜もり岡を掩ひ木立を照しわが窓さきにそゝぐ夏の日の光に冷たさあれわが凭る椅子腕を投げし卓子(てーぶる)脚重くとどける疊部屋をこめて動かぬ空氣すべてみな氷のごとくなれわがまなこ冷かに澄みあるとなきおもひを湛へ勞れはてしこゝろは森の奧に古びたる池の如くにあれあゝねがふわが日の安らかさわが日の靜けさわが日の冷たさを...
若山牧水 「樹木とその葉」
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