...云わば彼の心もちは強敵との試合を目前に控えた拳闘家(けんとうか)の気組みと変りはない...
芥川龍之介 「お時儀」
...北村四海(きたむらしかい)君の彫刻の女が御隣に控えたベエトオフェンへ滴(したた)るごとき秋波(しゅうは)を送っている...
芥川龍之介 「葱」
...と宿帳に控えたが...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...控えたる侍女一、件(くだん)の錨の杖を預る)これはこれは、御休息の処を恐入りましてござります...
泉鏡花 「海神別荘」
...殊更(ことさら)不満として口にするのを差し控えた...
上田広 「指導物語」
...わざと今日はお目にかけるのを差控えたのでござります...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...ケネディ博士がいかなる断定を下すかと固唾(かたず)を呑んで控えた例のバヒア・ブランカ大学史学科の教授ケーポ・デ・リアーノ大先生...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...自分は行くことを差控えたい...
谷崎潤一郎 「細雪」
...テーブルを前に控えた皮張りの長いすに腰かけていた...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...女学生なんかに恋愛物語は控えた方がよかろうと云った...
豊島与志雄 「浅間噴火口」
...ジルノルマン伯母(おば)は新家庭のそばに差し控えた日々を送りつつ満足していた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...青くて丸い山を向うに控えた...
夏目漱石 「思い出す事など」
...黒子の有る無しを見届けるだけは差し控えた方が得策だろうと判断した...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...前に広い芝生(しばふ)を控えた応接間を左へ折れ曲ると...
夏目漱石 「道草」
...その次に控えたオペラのスターの悪闘には...
野村胡堂 「楽聖物語」
...全員の名前と住所は控えた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...広いモザイクの平面を前に控えた雄大な外廊に面して...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神の剣」
...何だ」「ちと」わざと外に控えたままでいた...
吉川英治 「私本太平記」
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