...胸を掠(かす)めて...
泉鏡花 「瓜の涙」
...他の学生は「マキャベリズム」に感染せる残酷なる兵隊の群に入りて掠奪を事としたのである...
大隈重信 「大戦乱後の国際平和」
...ふと脳裡を掠めたからである...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...尾崎氏の吹込演説は感冒(かぜ)を引いたやうな掠(かす)めた声で喇叭(ラツパ)から流れて出る...
薄田泣菫 「茶話」
...その火は失火もあるが盗賊が掠奪のための放火もあった...
田中貢太郎 「日本天変地異記」
...綺羅子の声が私の耳を掠(かす)めました...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...気に入ったのはまるでしがみついたように小脇に抱いて誰かに掠奪されるのを恐れているようである...
寺田寅彦 「札幌まで」
...荒唐無稽だ!』こうした考えが彼の頭を掠(かす)めた...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...西の空に傾いてる月の面を掠めて...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...善良ナル村人ノ財物ヲ剽掠(へうりやく)セシメ...
中里介山 「大菩薩峠」
...大変見っとも好いもんだがね」この時津田の胸を掠(かす)めて...
夏目漱石 「明暗」
...ちょうど掠奪の後を見るようだった...
久生十蘭 「ノア」
...いざとなつて俺達に掠奪の陣を張られるのが余程怖ろしいもので...
牧野信一 「武者窓日記」
...夕日の影は斜に権現の森を掠めて遠くに聞ゆる入相の鐘はあくびするやうに響いて来る...
正岡子規 「蝶」
...ひどく感動して声の出ない掠(かす)れた声音で言った...
室生犀星 「三階の家」
...はるか暁闇の空を掠めて重畳(ちょうじょう)の山間から...
吉川英治 「剣難女難」
...「それっ、追い討ちにかかれ」「焼き立てろ、火攻めに移れ」良兼の部下は、余勢を駆って、さらに、豊田郷の深くに進攻し、放火、掠奪、凌辱(りょうじょく)など、悪鬼の跳躍をほしいままにして、その日の夜半頃、筑波へひきあげた...
吉川英治 「平の将門」
...頻々たる倭寇の侵掠の続く間にも日本との貿易関係を絶たず...
和辻哲郎 「鎖国」
便利!手書き漢字入力検索