...水を掠(かす)めて去来する岩燕(いわつばめ)を眺めていると...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...私たちは父の目を掠(かす)めてそれを味わわなければならなかったのを記憶する...
有島武郎 「私の父と母」
...斷々(きれ/″\)な事が雜然(ごつちや)になつて心を掠める...
石川啄木 「菊池君」
...従つてその掠奪行為には...
伊藤野枝 「嫁泥棒譚」
...真昼のビル街を掠(かす)めようと問題ではない...
海野十三 「鞄らしくない鞄」
...掠(かす)めたやうな声で...
薄田泣菫 「恋妻であり敵であつた」
...港内を剽掠(ひょうりゃく)し...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...嗄(しわが)れた声がそのまま)三造の頭の奥をちらりと掠(かす)めて過ぎた...
中島敦 「斗南先生」
...思いがけないある思念が電光のように心の隅を掠(かす)めた...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...巨いなる荒掠者の手からふり撒かれ...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...彼らは狩猟を行うために広大な森林を放置し、その土地の大部分を牧場に用い、残ったわずかの土地を粗放な農耕に宛て、そして飢饉が囘(めぐ)って来てその資源の乏しいことを教えると、彼らはその住民大衆に食物を与えないその国土の不毛を責めたが2)、しかしその森林を開き、沼沢を通じ、その土地を増加せる人口を養うに適するようにはせずに他国へ『食物を、掠奪品を、または名誉を求めに行く3)』のが、彼らの好戦的な習慣と短気な気質に合したのである...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...アラビア人の掠奪とマメリウクの来訪の恐怖...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...初冬の雲が静かに蒼空の面を掠め...
宮本百合子 「餌」
...夙やく天の一方にその自由の飛翔を掠め消え去つた...
三好達治 「測量船」
...例の男の太い掠れた叫びや...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...北方蛮族の軍がロマを陥れて掠奪をほしいままにした事件の三年後(四一三年)であった...
矢内原忠雄 「読書と著書」
...たちまち大資本の手がのびてきて掠(さら)われてしまうのだ...
山本周五郎 「季節のない街」
...大百貨店の閾(しきゐ)を跨(また)ぐ女に掠奪者でない女があらうか...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
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