...舳(みよし)を掠(かす)めて失(う)せたのである...
泉鏡花 「悪獣篇」
...顰(ひそ)めた眉を掠(かす)めて落ちた...
泉鏡花 「女客」
...矢張りその掠奪を意味するものだと云ふ事です...
伊藤野枝 「嫁泥棒譚」
...生あツたかく鼻を掠めて一種のにほひがあつたのに...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...俺は自分の持物のようにリュックを易々(やすやす)と掠(かす)めていたのだ...
梅崎春生 「蜆」
...ピューッと銃丸(たま)が二人の耳許(みみもと)を掠(かす)めて...
海野十三 「恐怖の口笛」
...輝きのないそして見るからに毒々しい光がどんよりと浪と雲の上を掠めるのであつた...
關口存男 「新獨逸語文法教程解説」
...何ものかにナイフででも切られたかのように掠(かす)められた...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...すぐ袖を掠(かす)める烈風に...
直木三十五 「南国太平記」
...右に峙(そばだ)つ丸櫓の上より飛び来る矢が戞(かつ)と夜叉の額を掠(かす)めてウィリアムの足の下へ落つる...
夏目漱石 「幻影の盾」
...それを掠(かす)めるようにかけ渡された三本の電線も...
夏目漱石 「明暗」
...鈍い汽笛がまどろむやうに海面を掠めて...
「修道院の秋」
...お勢は笑い出しそうな眼元でじろり文三の顔を掠(かす)めながら...
二葉亭四迷 「浮雲」
...人家(じんか)に近(ちか)いところでは鷄(にはとり)などを掠(かす)めることもあります...
本多靜六 「森林と樹木と動物」
...中尾が掠りを取ることを念に入れておいて...
矢田津世子 「※[#「やまいだれ+句」、第4水準2-81-44]女抄録」
...北方蛮族の軍がロマを陥れて掠奪をほしいままにした事件の三年後(四一三年)であった...
矢内原忠雄 「読書と著書」
...これはぜひ掠(かす)めとって...
吉川英治 「三国志」
...蜀兵の掠奪を訴えること...
吉川英治 「三国志」
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