...流るゝ涙を拭ふの慈母となるのである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...酒によつて生命の障礙を拭ふことは出來る...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...涙を拭ふ隙(ひま)もなく...
高山樗牛 「瀧口入道」
...大洋を拭ふて来る海風は無数の蝋燭の焔をユラユラさせながら気持ちよく皆の肌に入つて行くのであつた...
太宰治 「地図」
...即ち紐を解き緩め疵の黒血を吹き拭ふ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...涙を拭ふ慟哭の*本を我まづ成し遂げむ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...涙に霞(かす)む眼を拭ふのが精一杯でした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...はふり落ちる涙を拭ふ術(すべ)もなく...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...もう此樣な事は御聞かせ申しませぬほどに心配をして下さりますなとて拭ふあとから又涙...
樋口一葉 「十三夜」
...美登利は眼を拭ふて正太さん私は怒つて居るのでは有りません...
樋口一葉 「たけくらべ」
...ふり仰向(あふのい)てはんけちに顏を拭ふさま...
樋口一葉 「ゆく雲」
...既に幾度も拭つたガーゼは黄色くなつてをり――勿論附添夫が時々取りかへてやるが――それは拭ふといふよりも...
北條民雄 「続癩院記録」
...ぞんざいに胡瓜を拭ふとその儘...
牧野信一 「或る五月の朝の話」
...慌てゝ指先を手布で拭ふた...
牧野信一 「爪」
...ホヤの曇りを拭ふとか...
牧野信一 「ランプの便り」
...綿をもてやはらかに拭ふすら殆(ほとん)ど堪へ難し...
正岡子規 「明治卅三年十月十五日記事」
...次に背部の繃帯を解き膿を拭ふ...
正岡子規 「明治卅三年十月十五日記事」
...夏の夜風は私の涙を拭ふやうに...
吉井勇 「酔狂録」
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