...兄の一郎は涙を拭うと...
海野十三 「恐怖の口笛」
...別段初めから拭う涙も出てこない...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...お菊はあらったその皿を一枚一枚大事に拭うて傍(そば)の箱へ入れていた...
田中貢太郎 「皿屋敷」
...拭うたやうな碧空は瑠璃の如く清く輝き...
近松秋江 「箱根の山々」
...遂に煙管(キセル)の脂(やに)を拭う反古(ほご)となるより外...
永井荷風 「十日の菊」
...ともすれば湧く涙を拭うばかりです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ほうり落ちる涙を拭う術(すべ)もなく...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...忠太郎 (咽び泣く)おはま (じッと忠太郎を瞶(みつ)める)忠太郎 (涙を拭うと決然と態度が一変する)おかみさん...
長谷川伸 「瞼の母 二幕六場」
...きれいに眼を拭うと...
久生十蘭 「金狼」
...その水を飲みほしてナフキンで丹念に唇を拭うと...
久生十蘭 「ハムレット」
...洋人は鼻汁を拭うに毎次紙を用いて直ちにこれを投棄し...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...「ねえねえ師匠」やがて涙の顔を袖で拭うと...
正岡容 「小説 圓朝」
...――水木はやはり刀身を拭うような手付きをしながら...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...自身も盲目(めくら)となってこの姿」と涙を押し拭うた...
夢野久作 「黒白ストーリー」
...涙を拭う気はいである...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...顔に打ちあたる飛沫を手巾で拭う千鶴子の愁いげな眼――と幻のように南海の夜景が次ぎ次ぎに泛かんで消えぬ楽しみを思うにつけ...
横光利一 「旅愁」
...糜芳は城を出て、友を出迎え、まず関羽の消息を問い、荊州の落城を嘆じて、悲涙を押し拭う...
吉川英治 「三国志」
...背を拭うてくれ」そのあいだに...
吉川英治 「私本太平記」
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