...雪眼鏡を外して涙を拭う程笑った...
石川欣一 「山を思う」
...彼女はジャムのついた唇を拭うた...
武田麟太郎 「一の酉」
...自分はそっとこの甲虫をつまみ上げてハンケチで背中の泥を拭うていると...
寺田寅彦 「さまよえるユダヤ人の手記より」
...夕方井戸水を汲んで頭を冷やして全身の汗を拭うと藤棚の下に初嵐の起るのを感じる...
寺田寅彦 「夏」
...シャーロック・ホームズは深く息をつき、額の汗を拭う...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...拭うように消えて行った...
徳田秋声 「爛」
...彼女の眼の冷い険は拭うようにとれて...
豊島与志雄 「立枯れ」
...拭うがように凡てが消えて...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...ランプの油壺やホヤを拭う反古紙になったりして...
永井荷風 「十日の菊」
...拭うことができません...
中里介山 「大菩薩峠」
...弁信自身は、拭うても、拭うても、拭いきれぬ血を拭いているとは思わないでしょうが、見ているピグミーは、眼を皿のようにして、そのおびただしい血痕が、弁信のいずれの肢体から滲(し)み出でるのだか、驚惑と、興味と、恐怖とに駆(か)られて見ていたが、やがて気の毒そうに、「弁信さん、お前もかなり疲れているから、お休みなさい、おいらはこれから出かけます」「そうですか、お前さん、これからどこへ行きます」「そうさね、どこといってべつだん当てはないのだが、お前のいま言ったその信濃の国の、白骨(しらほね)というところへでも行ってみようかと思っているのさ」「あ、そうですか、白骨へ行きますか...
中里介山 「大菩薩峠」
...拭うことの出来ない瑕瑾(きず)の付く事件ですから...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ともすれば湧く涙を拭うばかりです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...拭うがごとく正気に返って...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...おはま (涙を拭う)お登世 江州の忠太郎兄さんじゃないの...
長谷川伸 「瞼の母 二幕六場」
...やがて何と思ったのか、ウムといって火の傍に包みを下し、それに腰をかけ、眼は油断なく尾根の方と峠路の方をかわるがわるすかして見込みながら、頬被りを取り、肩先を拭う...
三好十郎 「斬られの仙太」
...ハンカチで汗を拭う...
夢野久作 「涙のアリバイ」
...拭うことのできない「反逆者」「乱暴者」という印象を...
吉川英治 「平の将門」
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