...拙者(せっしゃ)と朝月(あさづき)が先登(せんとう)つかまつります...
安藤盛 「三両清兵衛と名馬朝月」
...隅(すみ)の方で拙(まず)い踊りを踊りはじめたのだったが...
徳田秋声 「仮装人物」
...なお「諸科学のイデオロギー論」(拙著『イデオロギー概論』〔同上〕の内)を見よ...
戸坂潤 「科学論」
...拙者が贔屓(ひいき)してやるからここへ来いと言え」お松は今日の忙しさに加勢に頼まれて来ていたのを...
中里介山 「大菩薩峠」
...拙者も国を出てから長いことになるが...
中里介山 「大菩薩峠」
...黒野田へ行って見ての上でないと拙者にもわからぬ...
中里介山 「大菩薩峠」
...米友も辞退しないで、よばれていると、ゆっくりと食事をしながら、青嵐は米友に向って、「君、君のいるあの胆吹の開墾地だがなあ、あそこの王様は女だという話じゃないか、女にしてはなかなか野心家だねえ」「ああ、女だよ、お銀様といって、甲州第一番の金持の娘が大将で、もくろんでいる仕事なんだ」「そうか、珍しい人だ、拙者も一度、その女主人様に会っておきたいものだと思っている」「駄目だよ」「どうして」「なかなか気むずかし屋でなあ、みんなが腫物(はれもの)にさわるようにしている……だが、おいらなんざあ、怖くもなんともねえや、おいらが見たんじゃあ、只の女の人だよ」米友は、御飯を食いながら、こう答えて、昂然として何か多少の得意気な色を浮ばせました...
中里介山 「大菩薩峠」
...その傍らから、お銀様の傲然たる声音(こわね)で、「それは、かとりの海――この琵琶湖のことじゃありません、琵琶湖は大きいのなんのと言っても、涯(かぎ)りの知れた湖です、かとりは海ですからね」「なるほど……そうおっしゃられると、拙者もそこに、かねがねの疑問を持っていたのです、お言葉通り、かとりの海と人麿(ひとまろ)は詠みました、かとりといえば、たれしもが当然、下総(しもうさ)常陸(ひたち)の香取(かとり)鹿島(かしま)を聯想いたします、はるばると夷(えびす)に近い香取鹿島の大海原(おおうなばら)に、大船を浮べて碇泊した大らかな気持、誰もそれを想像しないわけにはいかないのですが、拙者はこの歌を酷愛する一人であるにかかわらず、この歌の持つ空間性に、まだ疑いが解けきれないというのは、第一、柿本人麿(かきのもとのひとまろ)という人が、あの時代に、東(あずま)の涯(はて)なる香取鹿島あたりまで旅をしたことが有るかないかということです...
中里介山 「大菩薩峠」
...支那人(しなじん)は技法(ぎはふ)の巧拙(かうせつ)は別問題(べつもんだい)として...
南部修太郎 「麻雀を語る」
...おん身は拙僧のひざの上であそんだこともあるはず...
野村胡堂 「幻術天魔太郎」
...拙ない業(わざ)しか身に持たぬ...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...その肉や胆(い)の薬効を『本草』に記せると実際旅行中実験した欧人輩(ら)の話とが十分二者を同物とする拙見を扶(たす)け立たしむ...
南方熊楠 「十二支考」
...親子はしたゝか拙(まづ)いゲームをやつてボーイを笑はせたりした...
宮地嘉六 「ある職工の手記」
...拙者は真っ正直で口に飾がない...
山本周五郎 「夜明けの辻」
...パラソルやステッキを振り廻しながら「貴殿が紳士なら拙者もゼントルマンで御座る」「あなたがレデーなら妾(あたし)も淑女だわ」「ウヌが人間なら俺様も人間だ」といった風に...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...拙者(せっしゃ)の命(めい)にそむくことは大久保石見守(おおくぼいわみのかみ)さまの命にそむくも同じこと...
吉川英治 「神州天馬侠」
...拙者が一人で返して来る』源吾は...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...この民族の想像力はなお稚拙であった...
和辻哲郎 「人物埴輪の眼」
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