...況や才拙にして敏捷(びんせふ)なること能はず...
芥川龍之介 「僻見」
...人づきあいが拙(まず)く...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...某(それがし)に七人兄弟中に、拙者は罪人、芳は夭死(ようし)、敏は唖に否様(ぶざま)の悪い様なものなれど、また跡(あと)四人はかなりに世を過(すご)せられ、特に兄様、そもじ、小田村は両人ずつも子供があれば不足は申されぬ...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...わたくしはかつて『夏の町』と題する拙稾(せっこう)に明治三十年の頃には両国橋の下流本所(ほんじょ)御船倉(おふなぐら)の岸に浮洲(うきす)があって蘆荻のなお繁茂していたことを述べた...
永井荷風 「向嶋」
...「おお岡村氏」「先刻は失礼を致しました」「いや先刻は大儀でござった」「先生、それにしても腹が立ちまするな」岡村は何か余憤があるらしく、「先生、拙者の考えには、この辻斬はたしかに城内の勤番の武士のうちにあると、こう見当をつけましたが如何(いかが)でござりまする」「それそれ、拙者もそう思っているが、その勤番のうちで、それでは誰と目星をつけ様がない、それで考えが行詰ってしまっている」「左様、城内の侍ならば、先生と我々との間に大抵の品定めがきまるのでござりまする、それで拙者もいろいろと考えてみましたが、とうとう一つ考え当りました」「それは誰じゃ」「先生、意外な人でござりまするよ、それこそは」「遠慮なく言って見給え」「そんなら申してみましょう...
中里介山 「大菩薩峠」
...「拙(せつ)が一返(ぺん)古榎(ふるえのき)になった事がありやす...
夏目漱石 「琴のそら音」
...就中、貴族の一部に至つては、霄壌(しょうじょう)の差あり、既に一原素の異るを以てするも、英国政体に比して論ずれば、三方鼎立の一を欠く、三足を以て立つ鼎にして一足を欠き、二足にして確立するを得ると云はば、三尺の童子と雖も、迂拙を笑ふべし...
蜷川新 「天皇」
...昨日拙者が何をしていたか...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...山に入っては拙者の役目だ...
野村胡堂 「天保の飛行術」
...どうぞ拙者めにお任せ下さい...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...蓼太は雅俗巧拙の兩極端を具へた男で其句に兩極端が現れ居候...
正岡子規 「歌よみに與ふる書」
...拙妻の妹が剣山の神官の子婦だから...
南方熊楠 「十二支考」
...仙太 旦那あいまどこにいらっしゃるんで?加多 それは拙者も知らぬ...
三好十郎 「斬られの仙太」
...「では」T「拙者もお立合致します」と言われては敬四郎も...
山中貞雄 「右門捕物帖 三十番手柄 帯解け仏法」
...拙者は評判を聞くことが苦しかった...
山本周五郎 「夜明けの辻」
...拙者(せっしゃ)におおせつけねがいとうぞんじます」「いや龍太郎...
吉川英治 「神州天馬侠」
...おん身と拙者とは...
吉川英治 「新書太閤記」
...しかし稚拙ながらにも...
和辻哲郎 「人物埴輪の眼」
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