...許宣は保叔塔寺(ほうしゅくとうじ)へ往って焼香しようと思って、宵に姐に相談して、朝早く起きて、紙の馬、抹香、赤い蝋燭(ろうそく)、経幡(はた)、馬蹄銀(ばていぎん)の形をした紙の銭などを買い調え、飯を喫(く)い、新しく仕立てた着物を著、鞋(くつ)も佳(い)いのを穿いて、官巷の舗(みせ)へ往って李将仕に逢った...
田中貢太郎 「雷峯塔物語」
...前丁抹皇帝クリスチャン九世に三人の内親王があったが...
谷譲次 「踊る地平線」
...陰翳の多い筆で一抹的に描いて...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...「ノ」がどうして血の象徴になりうるかという意味が「バンジャ」の映画の皿の中の一抹(いちまつ)の血を見てはじめてわかったような気もするのであった...
寺田寅彦 「自由画稿」
...彼らは十七世紀の古典文学を抹殺(まっさつ)し...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...なにか夢を追い求める一抹の気が...
豊島与志雄 「高尾ざんげ」
...抹香くさいまでは...
豊島与志雄 「話の屑籠」
...翠微(すいび)の間(かん)に一抹(いちまつ)の煙がある――煙の下にはきっと火がある...
中里介山 「大菩薩峠」
...芦名兵三郎の上に一抹の疑いを掛けて居るのでしょうか...
野村胡堂 「悪魔の顔」
...すこしも彼女たちの個性的価値(ねうち)を抹殺(まっさつ)する事は出来なかった...
長谷川時雨 「明治美人伝」
...これを簡単に抹殺せしむれば足る――と考えられた...
河本大作 「私が張作霖を殺した」
...怕るべき佗しさの(以下四行抹殺……筆者)所詮...
牧野信一 「病状」
...こは抹茶の器を入れたるままある人の貸しくれたるなり...
正岡子規 「明治卅三年十月十五日記事」
...婦人作家の中にも彼等より立ちまさったもののいる事実を抹殺して了うのです...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...その五十幾歳を一期として死んで行く間際に当って一抹の哀愁の場面が点綴(てんてつ)されることになったのはコトワリセメて是非もない次第であった...
夢野久作 「近世快人伝」
...何よりも先(ま)ずマユミの両親をこの世から抹殺する手段を考えなければならなかった...
夢野久作 「巡査辞職」
...そこに一抹の暗影を感じないわけにはゆかなかった...
吉川英治 「三国志」
...しかし彼の抹香(まっこう)嫌いは...
吉川英治 「源頼朝」
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