...無數の騷音が波濤の如く沸き立つ中にあつて輕薄なる住宅に一身を托する生活は隨分堪らない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...生活の根柢を深く宇宙の威力の中に托する者でなければならぬ...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...純粹に個我を離れたる愛情に一身を托するを得ざる自分の矮小なる姿を恥ぢざるを得ない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...かの女の苦しい悲しい悶えを托するに足るやうな本尊もないではない...
田山花袋 「道綱の母」
...あゝ朝日!爾(なんじ)の無限大を以てして一滴(いってき)の露に宿るを厭わぬ爾朝日!須臾(しゅゆ)の命(いのち)を小枝(さえだ)に托するはかない水の一雫(ひとしずく)...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...而も之れを托するに無意義なる禪家の裝姿を以てするが故に...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...高島一派の現勢力は殆ど零位なり彼れ豈之れと結托するの愚を為さむや或は自由...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...自分の生涯を托する安楽な棲処(すみか)があるものだと思われてならないのらしい...
中里介山 「大菩薩峠」
...その時に猫を取っ捕えて青年達に托すること前の通りにして出た...
中里介山 「百姓弥之助の話」
...今日この席の好機会に恰(あたか)も遺言の如(ごと)くにして之を諸君に嘱托するものなり...
福澤諭吉 「〔気品の泉源、智徳の模範〕」
...これを郵便に托するのは残酷過ぎると思つた...
牧野信一 「疑惑の城」
...下女下男子守の雇ひ入れに屈托することがなかつたゝめである...
正宗白鳥 「幼少の思ひ出」
...富農撲滅と富農と結托する僧侶排撃の精力的な活動と集団農場での文化向上のための文化・芸術ウダールニクが...
宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
...先ず第一に誠心実意忠良無二の精神ある人物を択んでその人に托するね...
村井弦斎 「食道楽」
...帝まだお前達五人に托する一層重い事がある...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...その家事を托する人が必要になって...
矢田津世子 「女心拾遺」
...人類の起原をインセストに托するは自然であった上に...
柳田国男 「木綿以前の事」
...たまたま山の生活と交渉のある場合ばかりこれを目に見えぬ山の人の神通に托するがごときは...
柳田国男 「山の人生」
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