...七 文芸は文章に表現を托する芸術なり...
芥川龍之介 「小説作法十則」
...自己の靈魂の訓練を長上に托する心持も――此等の崇高な...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...二葉亭の人物を見立ててそんな使命を托する人もあるまいし...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...最後に僕のこの原稿を特に君に托するものは君の恐らくは誰よりも僕を知つてゐると思ふからだ...
小穴隆一 「二つの繪」
...弱り果てて力なき身を渓流の中の膚寸(ふすん)の地に托するものなるべし...
大町桂月 「層雲峡より大雪山へ」
...(それも酒のためなのだ)使賃を与へ手紙を托する...
種田山頭火 「一草庵日記」
...かの女の苦しい悲しい悶えを托するに足るやうな本尊もないではない...
田山花袋 「道綱の母」
...其の如何なる内閣たるを問はずして之れと相結托するは止むを得ざる窮策たりしと同時に...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...晩年落魄の感慨を托するに破芭蕉を択んだのは甚妙である...
永井荷風 「枯葉の記」
...即ち私の長い將來の學資を得せしめるのには其商人に托する外に何も思案はなかつたのです...
長塚節 「教師」
...すなわち全身の重量を――この高い絶崖と遙か下方の急瀬深潭との中空において――托するに足るかどうか...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...江戸の風物と詩情とそして簡素な筋立てにその生命を托するが故に...
野村胡堂 「随筆銭形平次」
...これを郵便に托するのは残酷過ぎると思つた...
牧野信一 「疑惑の城」
...この雜誌に一生を托することに覺悟を極めたのであらう...
正宗白鳥 「編集者今昔」
...ゆえにその児(こ)の訓育を他人に托する...
箕作秋坪 「教育談」
...先ず第一に誠心実意忠良無二の精神ある人物を択んでその人に托するね...
村井弦斎 「食道楽」
...人類の起原をインセストに托するは自然であった上に...
柳田国男 「木綿以前の事」
...見も知らぬ人間にこうした重大な物品を委托するポーエル・ハインリッヒ候補生の如何にもお坊ちゃんらしい純な...
夢野久作 「戦場」
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