...子供の頃は遠く感じた祖母の家が、今では手近な場所にある...
...やがて手近の卓子(テーブル)の上へ...
芥川龍之介 「影」
...俺は手近にあった缶詰を卓子掛(テーブルかけ)にくるんで持ちこんだのだった...
海野十三 「幽霊船の秘密」
...現行犯「まあ、手近かなところ、どこでもいい」春樹は気が進まないらしい様子をしている女を、引立てて歩いた...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「梟の眼」
...誰よりも早く奉仕出来る手近かな地位を占めているためだった...
谷譲次 「踊る地平線」
...大衆の組織的活動に就いての不安(現にメーデーを見よ)・利害の自由な表現についての不安(之は流言飛語に関係がある)・職を擲って着役せねばならぬかも知れぬ不安・そして最も手近かなのは経済的消耗品となることの不安(大衆課税...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...そうして二階のいちばん手近いところの部屋...
中里介山 「大菩薩峠」
...まず手近の俵を解きました...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...――さて吾々は比較的手近かな疑問より先づ檢討をはじめよう...
波多野精一 「時と永遠」
...……手近で浮世離れしたなんてのはあそこ以外にはありませんな...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...手近の男の肩を掴むと...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...みな手近にあって...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...主題は自分の手近かにあるどんなものでもいい...
堀辰雄 「手紙」
...手近の山は、層々かさなると、幾らか灰色がかって見えるその降りたての雪にすっぽり包まれている...
本庄陸男 「石狩川」
...泣くことは激しい情念の活動を感傷に変えるための手近かな手段である...
三木清 「人生論ノート」
...新宿御苑があって片側町であろうとも、浄水場が控えていようと、手近に多摩川、吉祥寺への近郊があり、四谷、赤坂、牛込から吸収し、遠く甲信、小田原の人々をここで食い止めようという努力である...
宮島資夫 「四谷、赤坂」
...その外(ほか)は手近にある徳川実記(紀)と野史(やし)とを参考したに過ぎない...
森鴎外 「興津弥五右衛門の遺書(初稿)」
...モット手近い、痛切なところでは俗に所謂(いわゆる)『泣き中気(ちゅうき)』とか『笑い中気』とかいうのがある...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...矢代は手近に今までいた千鶴子も...
横光利一 「旅愁」
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