...それは九日に手向けたらしい寒菊や南天の束の外に何か親しみの持てないものだった...
芥川龍之介 「年末の一日」
...今朝も手向けた一銭(もん)蝋燭(ろうそく)も...
泉鏡花 「薄紅梅」
...里人の手向けしにや...
高山樗牛 「瀧口入道」
...吉兵衛しょんぼりお墓に参って水心静かに手向け...
太宰治 「新釈諸国噺」
...金内の屍に百右衛門の首級を手向け...
太宰治 「新釈諸国噺」
...匂ひよき花の一束を私に手向けて下さい……...
田山録弥 「あさぢ沼」
...牧への手向けの涙でもあったか――薄い憐れさが...
直木三十五 「南国太平記」
...その頃年少のわたくしがこの寺の所在を知ったのは宮戸座の役者たちが新比翼塚(ひよくづか)なるものに香華を手向けた話をきいた事からであった...
永井荷風 「里の今昔」
...弓矢の手向けをするにも及ぶまい」「天文(てんもん)十六年の事...
中里介山 「大菩薩峠」
...大野木は太郎吉が造りし小石の墓に路傍の草花をとって手向ける...
長谷川伸 「沓掛時次郎 三幕十場」
...大井町辺にその子孫の老女がをり折々香華を手向けに来ると私に談つたが...
正岡容 「下谷練塀小路」
...後またその訛(あやま)りを知って池水を手向け霊魂を弔う...
南方熊楠 「十二支考」
...どうして死者への手向けなのだろうか? ガアガア喚きちらすマイク・カーの存在も気にくわない...
山川方夫 「ジャンの新盆」
...ひそかに香華の手向けをしてきた位牌だった...
山本周五郎 「日本婦道記」
...勝者の手向けた一掬(きく)の涙は...
吉川英治 「三国志」
...愚痴なお手向けしたわけではない」いくさは復讐でない...
吉川英治 「私本太平記」
...夜ごと夜ごとの忍び輿(ごし)執事(しつじ)の殿の宮めぐり畏(かしこ)む御幣(ごへい)ふとやかに手向けを受けぬ神もなしと...
吉川英治 「私本太平記」
...少年は花を手向け...
吉川英治 「宮本武蔵」
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