...この気が変になってしまったらしい岡安を手とり足とり連れて行ってしまった...
海野十三 「電気看板の神経」
...婆さんが、立ひざで、「坊さん、わるいところで、目を醒(さま)したね」一九否もうと、叫ぼうと、手とり足とり、木賃宿の奥の一間の暗がりに、美しき浪路をかつぎ入れようと、荒立って、のれん口へかかった、丑、為の雲助、突如として、鼻の先で、野太い声が、そうきめつけたので、少なからずたじろいだが、利かぬ気の丑、「おッ! どいつだ! どいつが、ひとの咎(とが)め立てなんぞしやがるんだ!」「わしじゃ! わしが訊(き)いているのだ」と、ぬッと突き出された、いが栗あたま――眉太く、どんぐり目、口大きく、肩幅は、為、丑二人を合せても敵(かな)うまい――六尺ゆたかの大坊主――素布子(すぬのこ)の、襟のはだかったところから、胸毛がザワザワと伸びたの迄が見える...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
便利!手書き漢字入力検索